校長ブログ

教え子との対話-英語教育編①

2024.05.06 グローバル教育
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 英語教師となって3年目、現在、他校で中3を担当する教え子のOさんとの対話からです。

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O:生成AIが登場して、文科省は、学校での活用指針として英会話の相手とする一方、詩や俳句など創作の場面での安易な使用は不適切としています。リスク管理に留意しながら、民間が研究を進めているのでしょうが、英語教育にはどのように波及していくと考えられていますか?

校長:そうだね。例えば、英語の添削機能を担い、生徒が書いた間違いを適切な表現にできればライティング指導では各段の進歩が見込めるね。また、EdTech教材を活用した個別最適な学びにおいて、タブレット端末の答案を文脈に合う表現に修正してくれれば、より多くの生徒に効率よく教えることが可能になるね。その意味で、解答に至るまでのプロセスを説明してくれる生成AIは、使い方次第で学習者自律に貢献するはずだよ。ただし、模範解答以上に参考になる反面、抽象的なこともあり、かみ砕いて説明してくれる教師の存在が生成AIとの共存の道と言えるんじゃないかな。

O:おっしゃる通りだと思います。校長先生は、いつもティーチャーとファシリテーターの両立と言われていますが、私もそのような教師を目指しています。ところで、今、中3を担当させてもらっているのですが、昨年の全国学力・学習状況調査では、中3の英語で話す力の正答率は12%くらいで、前回の調査よりも下がったと聞いています。私が担当する生徒もそうなのですが、どのように見ていらっしゃるのでしょうか?

校長:確かに、6割が0点で、自分の考えを英語で表現するのが苦手ということがはっきりしたみたいだね。コミュニケーション・ツールとしての英語が強調され、話す力や聞く力を測定する問題が出題、「聞く」と「読む」の正答率が56割であるのに対し、「話す」は12%と低水準。その中で、外国人留学生のプレゼンテーションを聞き、自分の考えを30秒で説明する問題の正答率が4.2%は厳しい結果だね。

O:なかなかですね...

校長:話す内容が浮かんでも表現が分からない生徒が40%台なのが問題だね。設問の場面設定が難しく、意見を出しにくかったこともあり、単に英語力が低いとは言いにくいという指摘もあるよ。また、話す授業に偏りすぎて英語でのやり取りが十分になされておらず、4技能のバランスに欠けると分析している専門家もいるよ。いずれにしても改善の余地があることは間違いないね。

O:「質問紙調査」では、即興でのやりとりや意見を述べ合う言語活動を行っている中学校が増加しているものの、生徒の受け止め方は63%台を推移しているところに意識の違いがあるような気がします。

校長:テキストのレベルが上がり、語彙数も増え、日常的な話題に寄せて説明するのがより難しくなったということかな。小学校56年での英語教科化や大学入試改革を考えると、中高大連携の英語教育を産官学協働で構築しなければならないのがわかる事例だと言えるね。

O:ところで、先生の学校のGコース、とても注目されているとお聞きしています。中1段階で高校生並みのリスニング力がつき、かなりのスピーキング力になると評判です。今、受け持っているクラスの生徒が希望しています。一度、お邪魔させてください。

校長:どうぞ。待ってるよ。(続)