校長ブログ

サイボーグ昆虫

2025.05.01 教科研究

5月1日

 災害対応ロボットをご存知ですか?災害が起きた時、人代わりに現場に出向き、救助や情報収集にあたるロボットのことです。最近では、自然災害だけでなく、原子力発電所の事故やテロといったケースを想定したものまで開発されているとのこと。

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 日本とシンガポールの研究チームが群れで操り、目的地に誘導するサイボーグ昆虫の開発に成功しています。制御のポイントが昆虫の本能を重視し自由を与えることだそうです。

 その例がマダガスカルゴキブリの集団。20匹が荷物を背負い、荒れ地を模した砂場を歩き、目的地にたどり着くとか。そのためにはまず、1匹のリーダーを決め、その個体を目的地に着くように制御します。他の個体はリーダーの動きを重視しつつ、仲間からも離れないように誘導する刺激を与えるだけであり、あとは自由に動き回れるように放っておくだけで、群れは目的地に到着するそうです。

 それができれば、災害現場などでの捜索活動が期待できます。つまり、被災者を効率よく見つけ、どこにいるかを救助隊に知らせることが可能になるわけです。昆虫がバラバラに動くのではなく、群れで行動するために目的物をいち早く探索できるという強みが生まれます。また、個体ごとに異なるセンサーを取り付ければ、1匹に複数のセンサーを付けるよりも素早く動けます。

 災害救助では小型ロボットもありますが、電池が動力源のため、長時間もちません。平らでない場所では制御が難しいことも考えられます。しかし、昆虫ならどこにでも移動でき、電力はセンサーに使うだけで済みます。

 サイボーグ昆虫の研究は進んでおり、クイーンズランド大学では、堅くて丈夫な羽を持ち、体重の10倍の重さの荷物を背負えると言われるゴミムシダマシに着目しています。そして、電気刺激で目的の方向に操る方法は変わらないものの、自然環境のモニタリングや動物の生態調査などにも使えると見なしています。生物で培った技術には汎用性があるかもしれないのです。