校長ブログ

夜間中学の日本語指導

2025.05.02 グローバル教育

5月2日

 夜間中学に通う外国人生徒が増えており、それに伴い、文科省は日本語指導の指針を作成するとのこと。中学校の教科に日本語はなく、これまで担当者は教材を作成するなどして、指導法を模索してきたというのが実情です。指針では実践例を取り上げ、日本語指導の改善に活かしていくそうです。

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 例えば、昨年4月に群馬県初の夜間中学として伊勢崎市に開校した県立みらい共創中学校。35人の生徒でスタートしたものの、日本はじめ14カ国の生徒が入学し、計67人まで増えています。約半数が日本語を必要とし、4つの習熟度別で日本語のクラスを開いています。指導は手探りであり、教員同士で情報交換や教材研究が主となっています。市販教材では経済的負担が増えるので、ワークシートを作ったり、オンライン教材を活用するなど、様々な工夫があるようです。

 夜間中学は、諸事情で義務教育を終えることができなかった方を対象に、開校された学校のこと。戦後、就学できなかった人や在日韓国・朝鮮人、中国帰国者らが学ぶ場として開校が進み、1955年頃に80校を超えました。高度経済成長とともに縮小されましたが、近年、政府による外国人材の受け入れをバックグラウンドに、海外ルーツの生徒が増えています。

 全国の夜間の生徒数は計2200人(全国夜間中学校研究会、2024)ですが、在日韓国・朝鮮人ら以外で来日した外国人生徒は、約20年前で2割(2000)に対し、6割に増加しています。不登校生を受け入れる夜間中学の設置を促す「教育機会確保法」(2016)が成立し、現在、都道府県と政令指定都市に計53校(文科省、2024)あり、今後、さらに、16校が開校されるようです。

 文科省は、オンライン教材や英語、中国語、韓国語などのアシスタントティーチャーに加え、自治体に補助金を出し、母語支援員や多言語翻訳システムなどを進めています。そして、各地の実践例について調査してまとめ、今年は日本語指導に関する指針の作成に着手する方針を打ち出しています。その他、夜間中学の教員が指導法を学べる制度など、検討すべき点はまだまだあるようです。