校長ブログ
外国人と共に歩む社会
2025.05.08
教科研究
5月8日
日本では少子高齢化の進行により、多くの企業が後継者不足に直面しています。そんな中、大阪市の町工場で起きた感動的なエピソードが話題になりました。
創業70年を超える機械部品メーカーの社長である大福豊さんは、長年、取引先にも恵まれ、会社経営も順風満帆でした。しかし、後継者が見つからず、事業継続が危ぶまれる状況に陥りました。
そんな状況を救ったのが、ベトナム人社員のブィ・クオック・ベト工場長。彼は日本で経験を積んだ後、母国で起業するつもりでしたが、お世話になった会社を救うために、自分が後を継ぐことを決意したのです。
日本企業が存続していくためには、外国人労働者の存在がますます重要になっている今日この頃。帝国データバンクによれば、日本企業の52.1%が後継者不在または未定であり、多くの中小企業が同じ課題に直面しています。円安が進む中、外国人労働者の数は増加の一途をたどっており、230万人に達したとのこと。(2024.10)日本総合研究所によれば、2040年代には日本の総人口の1割を外国人が占めるそうです。また、外国人は大都市に集中するため、東京や大阪では外国人比率が2〜3割に達する可能性があるそうです。
外国人労働者との共生を進める企業も出てきています。例えば、クラウド会計ソフトを開発するマネーフォワードでは、国内エンジニアの約3割が外国籍です。共通言語として英語を採用していますが、それでも生活面での困難を感じる社員が多いため、日本語の入門講座を開講するようです。これは単なる語学の問題ではなく、互いに歩み寄る姿勢を持つことが、企業の成長と社会の安定につながるという示唆に富んだ取り組みです。
国立社会保障・人口問題研究所は、日本では労働者不足が深刻なため、外国人と仕事を奪い合うというより、むしろ彼らと協力して社会を維持することが求められると分析しています。実際、社会の維持には外国人労働者の存在が不可欠。国際協力機構(JICA)によると、2040年には現在の約3倍にあたる688万人の外国人労働者が必要になると試算されています。
外国人労働者が増える一方で、賃金の高い国へ流出する動きも出ています。ある人材会社の経営者は、日本で技能を身につけた後、より高い報酬を求めて他国へ移るケースが増えていると指摘しています。
世界的に、労働者は1人当たり国内総生産(GDP)が高い国に集まりやすい傾向があります。もし日本が経済成長を続けられなければ、外国人労働者にとって魅力のある国ではなくなり、結果として労働力不足がより深刻化する可能性があります。
このような時代の変化の中で、教育現場でも外国人との共生に向けた取り組みが求められています。言語や文化の違いを受け入れ、多様な価値観を尊重する姿勢を育むことが、これからの子どもたちには必要です。本校でも多文化共生理解に向けた活動を積極的に取り入れています。
これからの日本は、外国人と共に生き、共に成長する社会をつくることが求められます。そのためには、一人ひとりが多様性を尊重し、異なる背景を持つ人々と協力する意識を持つことが大切です。未来の社会を担う子どもたちには、異文化を理解し、多様な人々と協働できる力を身につけてほしいと思います。教職員も日々学びながら、新しい時代に対応した教育を進めていきたいと考えています。