校長ブログ

創立記念日に寄せて

2025.05.09 学校生活

5月9日

 5月9日は創立記念日。前身である神戸山手女子中学校高等学校は、長い歴史と伝統を持ち、地域の教育を支えてきました。そして、創立100周年を機に、2025年から一部のコースを共学化し、神戸山手グローバル中学校高等学校として新たなスタートを切りました。これは単なる校名変更ではなく、グローバルという言葉が示す通り、国際社会で活躍できる生徒を育成することを意味しています。

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 グローバルとは、単に英語ができるということではなく、異なる文化や価値観を尊重し、多様な人々と協働しながら、新しい価値を生み出す力を指します。国内外の山積する課題に目を向け、最適解を導く探究学習はまさにその力を養うもの。本校の教育は、世界とつながることを大切にしながら、一人ひとりが自らの可能性を広げていくことを目指しています。

 山手学習院が誕生したのは1924年。当時、中等教育を受けられる女子のための学校が不足していました。そうした中、山手尋常小学校の杉野精造校長が中心となり、卒業生や保護者、地域の支援を受けながら設立されたのが山手学習院です。当初は、山手尋常小学校の一部を借りて授業が行われていました。その場所は、現在のこうべ小学校の敷地内であり、南門付近には「山手小学校発祥の地」の石碑が建てられています。

 建学の精神には「自学自習」と「情操陶冶」が掲げられています。本校は常に挑戦し、学び続けることを重んじ、時代の変化に対応しながら成長してきました。この精神は、生徒一人ひとりの中にも息づいています。「自学自習」とは、学校は生徒が自ら学ぶ場であり、主体的に学ぶ姿勢を育むべきという杉野校長の考えに基づいています。この考え方は、グローバル化・DX化の進展の中で、自己調整学習や探究的な学びの重要性が強調される今日の教育方針とも一致しています。

 一方、「情操陶冶」とは、感受性を育み、道徳的心情や価値観を養うこと。これは非認知能力、いわゆる「見えない学力」の育成に通じます。OECDは、非認知能力を「目標達成」「他者との協働」「感情処理」に関するスキルと位置づけていますが、これは新学習指導要領の「学びに向かう力、人間性など」とも深く関係しています。認知能力の向上を支える土台として、非認知能力の育成が不可欠であることは、教育の本質として変わることのない重要な視点です。

 創立2年目には、シャーロット・J・スミス先生が、清楚なセーラーカラーの制服を考案し、現在まで受け継がれています。同じ時期に制定された校章は、銀色でしたが、後にライトブルー、そして赤文字で「山手」と描かれるようになりました。1928年には校歌が制定され、作詞・作曲は本校の教員によるものです。さらに、1926年に現在の場所へ校舎が移転し、正式に女子校として「神戸山手高等女学校」の名が定められました。

 神戸の街は、何度も自然災害や戦争の被害を受けてきました。1938年の阪神大水害では、本校の運動場でもがけ崩れが発生しました。さらに、1945年3月の神戸大空襲により木造校舎は消失しましたが、現在の本館だけは奇跡的に残りました。戦後の復興期を経て1953年には全校コーラスの時間が設けられ、1955年には春の全国高校野球大会開会式で大会歌の合唱を担うことになります。今や卒業生は約2万人を超え、それぞれの分野で社会に貢献しています。

 2020年、本校は濱名学院との法人合併を経て「濱名山手学院」となり、幼児教育から大学・大学院までを擁する総合学園へと発展しました。その教育ミッションは「他者を尊重しつつ、主体的・能動的に自らの人生を切り拓く人間を世界に送り出すこと」です。本校も、建学の精神を大切にしながら、「未来型グローバルリーダーシップの人材育成」を目標に掲げています。変化の激しい社会の中で、豊かで幸せな人生を歩めるよう、グローバル探究教育・英語教育・ICT教育・中高大連携教育・クラブ活動など、さまざまな教育実践を進化させています。

 創立記念日を機に、改めて自分の目標を見つめ直し、未来に向けて新たな一歩を踏み出してほしいと思います。本校の歴史を築いてこられた多くの先輩方の努力と情熱を受け継ぎ、皆さんがこれからの神戸山手グローバル中高をさらに発展させていく存在となることを願っています。支えてくださっているご家族、先生方、地域の方々に感謝の気持ちを忘れずに、これからも「学びの探究者」として、一緒に成長していきましょう。