校長ブログ

2年目のDXハイスクール

2025.06.03 EdTech教育

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 2年連続で文科省の「DXハイスクール」指定を受けました。昨年度の取り組みを発展させて、新たな挑戦に挑みます。

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 DX、即ち、デジタル・トランスフォーメーションは、単なるICT活用にとどまらず、教育のあり方そのものを問い直し、再構築するもの。デジタル技術を活用して、生徒一人ひとりの資質・能力を最大限に引き出し、そこからの社会を自ら切り拓く力を育むことが目的とされています。

 昨年度は、ChatGPTや画像生成AI、音声合成技術など、最新のツールを駆使して、生徒たちは自分のアイデアを動画という形で表現しました。中には自ら選んだテーマに対し、調査、構成、ナレーション、編集までAIの力を取り入れながら動画を作り上げた生徒のグループもあるほど。生成AIを単なる作業の効率化の手段として捉えるのではなく、創造性を拡張するパートナーとして扱うことを実践を通して学んだのです。

 このような取り組みの中で、生徒たちはAIに問いかけながら、自分たちの考えをより明確にし、他者にわかりやすく伝える力を磨いてきました。伝える力、共感を得る力とは何かをデジタル時代のリテラシーは、こうした根本的な問いを内包しています。

 2年目の今年は次なるステージに進みます。それがAIロボットを活用した情報の授業。現在、情報Ⅰが高校では必履修となり、大学入学共通テストでも出題されるなど、その重要性はかつてないほどに高まっています。しかし、めざすものは、単にテスト対策としての知識の習得ではありません。AIと人間がどのように共生していけるのか、その未来像を、生徒たちがリアルに体験できる学びの場をつくることこそが求められているのです。

 授業では人型ロボットPepperを活用し、AIの構造や限界を理解するとともに、技術の倫理や社会的インパクトについても議論を深めていきます。AIは便利な道具であると同時に、人間の判断や価値観に影響を与える存在でもあります。その意味で、テクノロジーとの向き合い方を学ぶことは、即ち、生き方を考えることに直結しているのではないでしょうか?

 DXハイスクールとして重視しているのは、答えのない問いに取り組む姿勢です。生成AIやロボット技術という最先端のツールを扱うからこそ、生徒たちは自分の考えを言語化し、仲間と協働し、時に失敗しながらも前へ進んでいけるのです。

 本校の取り組みは、学びの連続です。生徒と共に未知に挑み、変化を恐れず、学び続けることの大切さを、生徒たちとともに体感しながら歩んでいます。そして生徒一人ひとりの好奇心と可能性を、デジタル技術という翼で大きく羽ばたかせていきたいと考えています。