校長ブログ

読書活動推進事業

2025.06.09 教科研究

6月9日

 本校は、文科省より『読書活動推進事業』に採択され、読書活動を通じた学びの深化にチャレンジします。今回の取り組みでは、11台整備しているタブレット端末を効果的に活用し、読書活動の新たな展開を図るというものです。

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 具体的には、タブレットに『青空文庫』のアプリを標準装備し、インターネット上で公開されている名作文学に日常的にアクセスできるようにします。これにより、朝読の時間には、紙の本に加え、電子書籍による読書機会を広げることで、生徒一人ひとりの読書習慣をより柔軟かつ持続的なものにしていきます。

 ただ読むだけではなく、『サマライズタイム』と名づけた活動も行います。これは、生徒たちが自ら読んだ内容を短くまとめる練習をし、それをAIを活用して添削・フィードバックを受けるというもの。論理的にまとめる力、要点を抽出する力、表現する力を総合的に育成します。単なる感想文に留まらず、批判的思考と的確な表現を日常の学びに結びつけていくことを目的としています。

 また、本校には、多様な文化的背景を持つ生徒も多数います。そのため、日本語の『青空文庫』に加え、英語の『Project Gutenberg』や『維基文庫(ウィキソース)』といった多言語対応の電子図書館も活用します。これにより、生徒たちは母語や英語でも名作文学に親しむことができ、グローバルな視点から読書を深める機会を得ることができるのです。

 さらに、全校をあげて『ビブリオバトル』も定期的に実施しています。読書体験をもとに自らの言葉で本の魅力を語るこの活動は、プレゼンテーション力、批評力、他者の意見を尊重する態度を育成するうえで有効です。このような取り組みを通じて、単に読書量を増やすことにとどまらず、「読む」「考える」「伝える」の三位一体の力を養成していきたいと考えています。

 本校では、単なる知識習得にとどまらず、世界で通用する「学習者自律」をめざしています。現代社会は、情報が氾濫し、即時的な反応が求められる一方で、深く考える力が求められる時代。だからこそ、読書を通じて「知る」「考える」「伝える」力を養うことが、生徒たちにとって将来の大きな財産となるのです。読書を通じて豊かな教養と鋭い思考力を備え、世界に貢献する存在へと成長していくことを期待しています。