校長ブログ
定期考査分析会-学びの可視化
2025.06.17
カリキュラム・マネジメント
6月17日
16日、定期考査分析会を行いました。本校では、「学びを学びで終わらせない」ことを大切にしています。教科の知識を定着させるだけでなく、生徒自身が自分の学びと向き合い、成長の糧にしていく過程こそが、めざすグローバル教育の土台です。その一つの大きな実践が、定期考査後の振り返りとフィードバックです。
かつては、本校も定期考査が終わると結果が返却され、それぞれの教科担当から講評がなされて終わるケースが多かったようです。しかし、5年前からもう一歩踏み込み、単なるできた、できなかったの確認で終わるのではなく、なぜできたのかできなかったのか、次にどうすればよいのかなどを、生徒と教師が共に問い、共に考えていく取り組みを進めています。
定期考査が終わると、各教員はリフレクション・シートを作成します。これは、各教科の重要ポイントや振り返りの観点、次につながる課題などを明記した生徒一人ひとりの学習を支援するためのシート。ここには、試験で問われた力、つまずきの理由、次回に向けてどのような学習が必要かといった視点が盛り込まれます。つまり、それは生徒にとって学び直しのヒントとなるのです。
併せて、考査分析会も開催します。これは単なる教科会ではありません。各教師のリフレクション・シートを教科主任がまとめ、管理職、コース長、学年主任などが教科を越えて集い、生徒の学習状況、設問の妥当性、出題傾向、理解度のばらつき、そして今後の指導の方向性について、緻密に検討する場となっています。エビデンス・ベースを軸とし、テストを通じて生徒に何が伝わったのか、何を問うべきだったのかを深く省察しています。
リフレクション・シートは、生徒へ返却するだけでなく、保護者にも配信し、面談週間の素材としています。面談では、担任は生徒一人ひとりと丁寧に向き合います。そこでは、単なる成績の確認ではなく、自分の学びをどう感じたか、どこで努力したか、どんな力がついたかなどを生徒の言葉で語っていただき、そこから次の目標設定へとコーチングしていきます。
教師は生徒の話をじっくり聴き、問いかけ、気づきを促すのが基本線。時には、どんなときに集中できた?、あの問題はどう解いた?といった細やかな質問から、生徒が自分の学習スタイルを見出すこともあります。生徒は、自分自身の学び方と成長の兆しに気づくことで、どうすれば前に進めるかを主体的に考えるようになるわけです。
本校独自とも言えるこの指導の流れには、生徒の主体性を何よりも大切にする教育観が脈々と流れています。結果を与えるのではなく、結果から学ぶ力を育てること、答えを教えるのではなく、問い続ける姿勢を育てることを指導の根幹に置いているのです。
ある生徒が、こんなふうに話してくれました。「前は、点数が悪いと自分には無理だと思っていたけど、コーチングでやり方を変えれば伸びるかもって思えたんです」。この一言に、日々取り組んでいる意味が凝縮されています。学びの成果は、単に知識の量では測れません。自らの思考や行動を見つめ直し、未来に向けて自分を変えていける力―それこそが、本当の学力であり、グローバルに生きる力であると確信しています。
もちろん、全てが順調なわけではありません。生徒によっては、まだ振り返りがうまくできないこともあり、教師も試行錯誤の連続です。しかし、だからこそ「チーム学校」で取り組み、情報を全体で共有しながら、日々進化を遂げる努力をする意味があるのです。
創立101年目、グローバル化に伴い、校名変更し、一部のコースを共学化した本校にとって、今年は「改革元年」の位置づけです。生徒一人ひとりの学びを本気で支える学校として、学びのプロセスにこそ価値があると信じ、どの生徒にも自分の力に気づかせる教育をこれからも丁寧に、真摯に、実践して参ります。