校長ブログ
英語教育を考える③ーForm-Meaning-Use
2025.07.11
教科研究
7月11日
「英語教育を考える」の第3段はForm-Meaning-Use(形式-意味-用法)です。
F氏:本日もお時間をいただきありがとうございます。御校で進められているForm-Meaning-Useに基づいた英語指導について、ぜひお伺いしたく思って参りました。
校長:ありがとうございます。Form-Meaning-Useは、"実社会で使える英語力"を育てる上で不可欠なアプローチ。形式を押さえつつ、意味と用法にまで踏み込むことで、学習者は初めて"使える英語"を身につけられるのです。
F氏:私も中高生の頃、文法の形だけ覚えて使いこなせなかった苦い記憶があります。いまだに日本の教育現場では、形式中心の指導が多い印象ですが...
校長:まだ一部残っているようですね。従来のルールを覚えて演習するだけの授業では、知識が場面と結びつきません。Form-Meaning-Useの考え方では、例えば、現在進行形であれば、単にbe動詞+動詞のing形と教えるのではなく、それが"今まさに起きていること"を表現し、どのような会話場面で自然に使われるかまでを扱います。
F氏:実際の授業ではどのように設計されているのですか?
校長:授業デザインでは、まずFormをシンプルに導入します。その後、Meaningを視覚化やモデル文で確認し、最後にUseを実際のコミュニケーション場面での使用に結びつけます。例えば、中学のあるクラスでは、ネイティブ教員が写真や動画を見せながら「今何が起きているか」を英語で説明する活動を取り入れています。
F氏:先生方の意識や指導力も問われますね。その点で、教員研修はどのように行っているのでしょうか?
校長:重要なポイントですね。本校では授業研究の仕組みを中心に据え、定期的に公開授業→リフレクションと意見交換→実践というサイクルを回しています。授業者が「この活動はFormに偏っていないか?」「MeaningとUseは十分に扱えているか?」と自ら問い直せる視点を持つよう助言しています。また、文法を意味と文脈に結びつけて扱うための研修なども導入しています。教員が自ら体験することで、生徒への指導も具体的になります。
F氏:生徒の様子はいかがですか?学びが実際の場面で活かされていると感じられることは?
校長:印象深い場面がたくさんあります。ある生徒が、海外校とのオンライン交流でI was thinking about your question during the weekend.と話してくれたことがありました。これは過去進行形を、Meaning(その時点で継続していた思考)とUse(丁寧なやり取りの文脈)に即して、自然に使いこなしていた例です。文法知識が、文脈に根ざした言語運用力に変わった瞬間でした。
F氏:学びが日常の中で活きているというのは、本当に理想的ですね。
校長:教員は英語を教えることを通じて、世界とつながる力や他者と理解し合う力を育てたいと考えています。だからこそ、正確に使えるだけでなく、場面に応じて選べる力が必要なのです。Form-Meaning-Useの指導は、それを育てるための、最も実践的なアプローチだと思います。
F氏:形式の理解から始まり、意味と用法を丁寧に扱うことで、英語が"生きた道具"になる。今日はそのプロセスを体系的に理解できて、本当に勉強になりました。ありがとうございました。
校長:こちらこそ、真摯に耳を傾けてくださり感謝します。公開授業にも参加いただければと思います。
F氏:本日、申し込みをさせてください。
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