校長ブログ
英語教育を考える④-未来をつくる英語力
2025.07.16
教科研究
7月16日
「英語教育を考える」シリーズの第4弾です。
M氏:今日はお忙しいところありがとうございます。実は、御校の英語教育への取り組みについてずっと関心がありまして。いわゆる「使える英語」を育てるには何が必要なのか、改めてお聞きしたくて。
校長:ありがとうございます。大切にしているのは、「英語を学ぶ」のではなく、「英語で学ぶ」「英語を通してつながる」という視点です。だからこそ、授業づくりも大きく進化しています。
M氏:具体的には、どんな実践をされているのでしょうか?
校長:まずご紹介したいのが TBLT(Task-Based Language Teaching) です。これは、「実際の場面で使える英語力」を育てるために、課題解決型の活動を取り入れたものです。例えば、生徒たちは「外国人観光客向けの案内パンフレットを英語で作る」などの課題に取り組みます。自然と語彙や表現を使いこなす力がついてくるんです。
M氏:なるほど。机上の勉強ではなく、「目的がある」から言語が生きてくるのですね。
校長:その通りです。さらに、日々の授業では CLT(Communicative Language Teaching) の考え方も取り入れています。ペアワークやロールプレイを通じて、生徒同士が「意味のある会話」を交わすことができるようにしています。文法や単語も、使いながら覚えていく感覚ですね。
M氏:聞いているだけで、授業が楽しそうですね。生徒の反応はいかがですか?
校長:最初は戸惑う子もいますが、自分の意見を英語で伝えられた瞬間の表情は本当に生き生きしていますよ。特に、力を入れているのが PBL(Project-Based Learning)。SDGsなどをテーマに、英語でプレゼンテーションを行ったり、地域課題を世界に発信する活動をしています。これは『グローバル探究キャンプ』でブラッシュアップしています。
M氏:英語が「目的」になるわけですね。学習者の主体性が育ちそうです。
校長:ええ。英語が単なるの科目ではなく、社会とつながるツールになる瞬間ですね。そして、これらを支えているのが Blended Learning や Online Learning の仕組みです。例えば、反転授業の形で、授業前に動画で文法を予習し、授業では徹底的に話す・書く練習に時間を使う。生徒の理解度に応じて個別最適化もできます。
M氏:ICTの活用が前提にあるということですね。
校長:はい。近年は EdTech の進化も活用しています。例えば、生徒が録音したスピーキングにAIが即時フィードバックを返すツールなどを使っています。機械との対話が練習の場となり、自律的な学びを支えてくれるわけです。
M氏:時代ですね。評価はどうしているんですか?
校長:英語に関しては、グローバル選抜探究コースはルーブリック評価を導入しています。基準にしているのはCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠) です。レベルに応じて、4技能をバランスよく評価することで、生徒自身が自分の今の位置を知り、次の目標を設定できるようにしています。
M氏:言語の「見える化」がされているんですね。
校長:そうですね。Translanguaging(越境的言語運用) も大切にしています。英語だけでなく、日本語で思考を整理し、それを英語に翻訳して発信する力。言語を「切り替える」のではなく、むしろ「つなげる」感覚です。母語を活用することで、英語での表現も一層深まります。
M氏:言語教育の枠を超えて、「学びの本質」に迫っているように感じました。
校長:大切なのは、英語力だけでなく、それを通して世界とつながる力、他者と協働する力を育てることです。これからも、生徒たちが未来に羽ばたくための英語教育を現場の先生方とともに進化させていきたいと思います。
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