校長ブログ
日本経済の未来
2025.08.28
教科研究
8月28日
日本経済研究センターが発表した長期経済予測によると、今後50年間で日本の経済地位は大きく変化し、2024年に世界29位だった1人当たり実質GDPは、2075年には45位まで低下すると見込まれています。

一方、経済成長を維持し、成長させるためには、AIなどのデジタル技術の活用と雇用慣行の改革といった具体的な方策も示されています。1人当たりの実質GDPについて、日本は2024年の約2万8600ドル(約430万円)から2075年には約4万5800ドル(約690万円)へと増加するものの、世界的には順位を大きく下げることになります。
注目すべきは、主要7カ国(G7)の中で最下位が続くこと。国全体のGDP規模は、2024年時点では世界4位(約3.5兆ドル)ですが、2075年には11位(約4.4兆ドル)に後退します。わずかに成長するものの、71〜75年の平均成長率はわずか0.3%にとどまっている状態です。
米国や中国は、AIを活用して情報サービスや金融・保険分野の生産性を向上させることで成長を維持しています。しかし、日本はこうした産業の規模が小さく、AI導入による経済効果が限られています。AI技術の活用が遅れると、日本の生産性はさらに低迷し、成長率の向上も期待しにくくなります。
生産性向上を考えると、定年制度の見直し、正規・非正規の待遇格差の解消、労働市場の流動性向上が不可欠。特に、日本の労働力不足が深刻化する中で、柔軟な雇用制度を整えることが求められます。
合計特殊出生率は、2023年に1.20と過去最低を記録しましたが、2040年代半ばから2075年まで1.1に低下すると予測されています。この少子化の進行により、日本の労働力人口は大幅に減少し、経済成長の重荷となることは自明です。
人口減少を補うために、日本の純移民数は年間23万〜24万人程度と試算されており、世界5位の移民受け入れ国になる見込みとか。しかし、それでも2075年の総人口は約9700万人まで減少し、日本経済を維持するにはさらなる移民政策が求められます。
2075年の世界のGDPランキングでは、米国と中国が依然として1位・2位。ただし、米国が厳格な移民政策を継続した場合、中国が逆転する可能性もあると指摘されています。経済の主役は先進国から新興国へとシフトするのです。また、BRICS諸国の合計GDPは2075年には米国の1.4倍に拡大する見込みであり、世界経済のバランスは大きく変わります。
日本が生き残る道として、AI技術の導入を促進し、情報サービス・金融分野の生産性向上を図り、デジタル人材の育成を強化すること、雇用制度の改革によって労働力の流動性を高め、高齢者や女性の労働参加を促進すること、高度外国人材の受け入れを拡大し、移民の社会統合を円滑に進める制度を整備すること、自由貿易圏の拡大を図り、新興国市場への投資を増やすことなどが考えられます。
日本経済の未来は厳しい状況にありますが、AIの活用、雇用改革、移民政策、国際連携が今後の成長を左右することは自明なのです。