校長ブログ

英語教育を考える⑭ールーブリック評価

2025.08.25 教科研究

8月25日

 保護者の方との対話から。

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A:校長先生、うちの子、英語の成績が3だったんですが、何ができていないのか、よく分からなくて...話す力はあると思うんですが...

校長:ご心配の点、よく分かります。定期テストの点数だけでは、本当の英語力は見えづらいものです。英語力とは、単に正答率や語彙量を示すものではなく、伝えようとする気持ち、やりとりの継続性、文構造の正確さといった多面的な力の総体です。学習指導要領は「資質・能力の三つの柱」によって構成されていますが、それを実際の授業に落とし込むとなると、評価の基準と指導の焦点が明確でなければなりません。そこで、重視しているのがルーブリック評価です。

A:ルーブリック評価って、どういうものですか?

校長:簡単に言えば、何ができたら、どのレベルなのかをあらかじめ示したチェックリスト。評価の"ものさし"を明確にすることで、生徒は自分の立ち位置と目標が分かります。つまり、ルーブリックは学習成果の振り返りになるのです。

A:なるほど。でも、評価が細かすぎて逆に混乱しないでしょうか?

校長:実は、逆なんです。どうすればさらに伸ばせるかが明確になるんですよ。これは従来の文法項目の習熟度や正誤判定中心のテストスコアと違い、学習者中心の評価観への転換を意味するもの。つまり、"何ができるようになったか"を学習者が自覚し、それを自己調整しながら学びを深めていけるのが大きな利点です。

A:それでルーブリックを配布し、生徒がゴールを理解した上で学習に取り組めるようにしていらっしゃるのですね。

校長:リフレクションとして生徒が各自で振り返る時間も必要です。これは学びのプロセスそのものを大切にする評価なのです。生徒が自分の言葉で「今、自分は何ができるようになったのか」「次に何を意識すればよいのか」と語れるようになってきたとき、英語力だけでなく学ぶ力が育っていることを実感できるはずです。

A:評価って、単なる点数じゃなく、子供の成長の証でもあることを改めて実感しています。

校長:まさに、そうです。目指しているのは、テストで点が取れる英語力だけではなく、グローバル社会で対話できる英語力。ルーブリック評価は、単なる測定技術ではなく、むしろ、カリキュラム・マネジメントを支えるもの。教員は、プレゼンテーション、ディスカッションなどのパフォーマンス課題を通じて生徒の達成度を観察・記録し、総合的に到達度を把握していきます。大切なのは、指導と評価を一体化し、明確なゴールをもとに授業デザインを行い、生徒が主体的に学びを自己調整できるようになることです。

A:学びとは自己効力感の積み重ねだと思います。ルーブリック評価は、その"気づき"を見える化し、生徒の言語的自己像を育てる道具であることを学びました。