校長ブログ

英語教育を考える⑯― カリキュラム・マネジメントの現場から

2025.09.06 教科研究

9月6日

 英語教育は、時代と共に常に変化を求められる領域。だからこそ、教師自身が学びの"デザイナー"としてカリキュラムに向き合い、生徒たちと共に「使える英語」を育んでいくことが、今、求められていることなのです。

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T先生:少しお時間をいただいてよろしいでしょうか?最近、授業のことで悩んでいて...

校長:悩んでいるということは、前に進もうとしている証拠だよ。

T先生:英語の授業が、どうしても入試対策中心になってしまって...生徒たちにとって、実際に使える英語になっているのか、自信がもてないんです。

校長:その感覚、とても大切だね。英語を通してどのような力を育てたいの?

T先生:やはり、将来、国際的な場面で自信をもってコミュニケーションできる力です。でも、教科書中心の授業やテスト対策ばかりだと、そこまで到達できていない気がして...

校長:目標、指導、評価、この三つのバランスを、現場の教師と共に点検しながら整えていくカリキュラム・マネジメントが必要なようだね。

T先生:教科書をなぞるだけではダメで、授業全体の流れや目的を見直すってことですね。

校長:そう。例えば「グローバル探究キャンプ」を思い出してごらん。SDGsをテーマにしたプレゼンテーションや、海外の高校とのオンライン交流。あれは単なるイベントではなく、シラバスの中核に位置づけた試みだったよね。

T先生:生徒たちは最初は緊張していましたけど、終わった後、自信に溢れていました。ああいう本物の経験って、大きいと思います。

校長:まさにそこ。シラバスも、文法知識や読解力だけでなく、言語を使って何ができるようになるかという視点が盛り込まれ、それをどのように評価するかがポイントだね。

T先生:評価といえば...テストはやっぱり文法作文や読解中心になりがちですが、もっと思考、判断、表現を測れる方法ってありますか?

校長:パフォーマンステストやルーブリック評価も有効。プレゼンテーションやディスカッションの内容を評価に組み込むことで、学習者の本来の力を引き出すことができるはずだよ。いつも言っているのが、評価は指導の最後にあるものではなく、学びの一部であるということなんだけどね。

T先生:テストの形式を変えるだけでも、生徒の学び方や意欲が変わりそうですね。

校長:その通り。こうした取り組みは、教師一人ではできるものでなく、教科や学年を超えた対話と連携が大切だよ。

T先生:ありがとうございます。次の教科会で授業のゴールと評価について、もっと深く話し合ってみたいと思います。

校長:教師が主体となって創る"対話の文化"そのものがカリキュラム・マネジメントの成否を分けるんだよ。