校長ブログ
大阪・関西万博
2025.09.22
学校生活
9月22日
20日、校外学習として中高全学年が「大阪・関西万博」を見学しました。それぞれが楽しい時間を過ごせたようです。
1964年の東京五輪、1970年の大阪万博。これらは戦後日本の飛躍を象徴する出来事でした。高速鉄道や通信技術の発展、国際化の加速、そして消費社会の拡大。日本は「進歩」の旗印のもとに走り抜けました。しかし同時に、公害や事故、社会不安といった影の部分も抱えていました。
それでも当時の万博は、人々に未来へのまなざしを与える「学びの場」でした。岡本太郎の「太陽の塔」は、人間のエネルギーを象徴する存在となり、会場では最新技術や世界の文化に触れる体験が来場者を待っていました。多くの日本人にとって初めての国際交流の場でもありました。まさに「未知との出会い」が教育的価値を生み出したのです。
では、2025年の大阪・関西万博をどのように教育に結びつけることができるのでしょうか?三つの視点があると考えます。
第一に、探究学習の素材としての万博。SDGsや脱炭素、バイオ技術、デジタル社会など、未来を左右するテーマが一堂に示されました。生徒たちが自ら問いを立て、現地やオンラインで調べ、発表につなげる絶好の教材となります。
第二に、多文化共生理解の体験としての万博。160を超える国・地域が参加し、パビリオンでは多様な文化や価値観が紹介されます。生徒たちが外国の人々と直接交流する機会を得れば、教科書では学べない「違いを尊重する感性」が育まれます。これは国際社会で生きる力そのものです。
第三に、「地域と学校の連携拠点」としての万博。開催地である大阪・関西だけでなく、全国の学校がオンライン交流やリモート見学を通じて万博に関わることができます。地元企業や大学と連携したプロジェクト学習を展開すれば、学校が社会に開かれる契機にもなります。
2025年の万博を、単なる一過性のイベントに終わらせるのか、それとも次世代を育てる教育の舞台装置にできるのか。問われているのは、教育に携わる者の姿勢です。未知との出会いが子どもたちの未来を拓く―その価値を確かなレガシーとして残していきたいと願います。