校長ブログ
外国人と歩む日本社会
2025.11.12
グローバル教育
11月12日
近頃、街で外国の方を見かける機会が急に増えたと感じる方も多いのではないでしょうか?観光で訪れる人々、働き手として来日する人々...その背景には、日本の人口減少と少子高齢化があります。人手不足が深刻化する中で、介護やサービス業、ITや研究開発など、多くの分野で外国の方の力はすでに日本社会を支える大切な存在となっています。
特に重要なのは言葉の問題です。日本語教育は、外国人が社会に溶け込み、自立して暮らすための基盤です。学校現場でも、日本語指導を必要とする子どもたちが年々増えています。単なる補習にとどまらず、多文化共生を前提にした教育の仕組みを整えることが急務です。異なる文化を尊重しながら共に学ぶ経験は、日本の子どもたちにとっても世界とつながる力を育む貴重な機会となるでしょう。
教育の現場は、その最前線にあります。本校でも多文化共生理解をテーマにした授業や、海外の学校とオンラインで結ぶ協働学習など、多様な実践が進んでいます。外国にルーツを持つ生徒がクラスにいることで、日常的に国際的な視野を広げられる学校も増えています。これは、子供たちに多様性を学び、共に生きる力を身につけさせる最高の教育機会です。
一方で、文化や習慣の違いから戸惑いが生まれることもあります。公共の場での振る舞いや地域ごとの生活ルールが外国の方には分かりにくい場合があります。こうした違いを摩擦に終わらせるのではなく、互いに学び合う契機にすることが大切です。そのためには、社会の暗黙知を明文化し、分かち合う工夫が必要です。
観光の面でも、外国人は日本経済を支える重要な存在です。インバウンド需要は今や主要な産業となり、地域の活性化に欠かせません。確かに観光客の集中による課題はありますが、分散化や制度の工夫によって解決できる問題です。外国人を未来を共に築く仲間として受け入れる姿勢こそ重要だと考えます。
歴史を振り返れば、日本は江戸末期に鎖国から開国へと大きな転換を果たしました。最初は不安もあったでしょうが、世界から人材や技術を学び取ることで近代国家への道を歩みました。
不安から門を閉ざすのではなく、希望をもって扉を開く。その先にあるのは、多様な人々と共に築く豊かな社会です。日本社会がこれからも成長し続けるためには、海外ルーツの生徒を仲間として迎え入れ、共生の知恵を育むことが不可欠です。
そして、共に学び、共に生きる社会をどう築いていくのかという最適解を模索し続けることが、教育の使命であり、子供たちの未来を託された我々の務めです。多様な人々が共に生きる社会を選び取ったとき、日本はこれまで以上に強く、そしてしなやかに未来を切り拓いていけると信じているのは私だけではないと思います。