校長ブログ
英語教育を考える㉗-フィリピン英語はなぜ日本人にとって学びやすく、有益なのか
2025.11.10
教科研究
11月10日
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保護者:最近フィリピン英語は日本人にとって学びやすいと聞きますが、どういう理由なのでしょうか?
校長:とても良い質問ですね。まず第一に、フィリピン英語は、発音が比較的明瞭で、日本人にとって聴き取りやすいという特徴があります。アメリカ英語の影響を強く受けていますが、母語話者ほどスピードが速くなく、イントネーションも穏やかで、学習者が安心して耳を慣らすことができるのです。
保護者:確かに、ネイティブの速さに挫折してしまう人は多いですね。
校長:その通りです。スティーヴン・クラッシェンという研究者が提唱した「i+1」という理論があります。これは、学習者の現在の能力(i)に、少しだけ上のレベルの刺激(+1)を加えることが、最も効果的な学習につながるという考え方です。難しすぎても理解できず、簡単すぎても成長がありません。フィリピン英語はまさに、その「少し上」を提供してくれる言語モデルになっているのです。
保護者:なるほど。ちょうど手が届きそうなレベルだからこそ、伸びやすいというわけですね。
校長:その点がとても重要です。さらに大きな特徴として、フィリピンでは教育現場で英語を第二言語として使用しており、教師自身が母語話者ではない立場から英語を使いこなす経験を積んでいます。つまり、どうすれば学習者が英語を理解できるのかを体感的に知っているのです。この経験が、日本人の英語学習に大きな助けとなります。
保護者:確かに、努力して英語を身につけた人の方が、学習者の気持ちに寄り添えるかもしれませんね。
校長:また、フィリピンは国際的なコールセンターやBPO産業の中心地でもあります。その背景から、相手に伝わりやすい、調整された英語を話す習慣が根付いているのです。日本人にとっては、この実用的で丁寧な英語が非常に学びやすく、かつ実践的です。
保護者:教育的でありながら、実務でも通用する英語ということですね。
校長:ええ。特に日本の教育課程では「使える英語」をどう育てるかが課題になっています。フィリピン英語を通して学ぶことで、プレゼンテーションや議論、日常的なビジネス会話など幅広い場面に対応できる力を養えます。そして、日本とフィリピンの時差が1時間程度しかないため、オンラインでの交流や授業も継続的に行いやすいという利点もあります。
保護者:確かに、時差が少ないのは実際の学習環境で大きな助けになりますね。
校長:さらに重要なのは、フィリピン英語を学ぶことを通して多文化共生の感覚が自然に育まれるという点です。フィリピンは多言語・多民族国家で、その多様性を背景に英語を共通言語として使ってきました。ですから彼らの英語教育には異なる文化や言語背景を持つ相手と協働する姿勢が備わっているのです。これは、国際社会を生きる子供たちにとって極めて重要な学びになります。
保護者:英語学習が、そのまま多文化理解の入り口になるということですね。
校長:おっしゃる通りです。英語は今やアメリカやイギリスのものだけではなく、世界で共有される国際共通語です。その意味で、フィリピンのように第二言語として英語を高度に活用している国の英語を学ぶことは、実践的であり、時代に即した価値があるのです。
保護者:よく分かりました。まとめると、フィリピン英語は、発音が明瞭で理解しやすく、第二言語としての教授経験が豊かであるため、実用的で国際社会に直結し、多文化理解につながるという点で日本人に有益なのですね。
校長:その通りです。これからの教育において、フィリピン英語は日本の子供たちにとって信頼できる学習パートナーになるでしょう。
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