校長ブログ

英語教育を考える㉘ー国際英語

2025.11.15 教科研究

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 国際英語(校長ブログ2024.12.10)の重要性は、単に正しい英語を話すことにとどまりません。大切なのは、多様な文化を持つ人々と協働して、互いの違いを認め合いながら新しい知を創造していくこと。本校の取り組みは、その未来を先取りする実践です。

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生徒A:最近、学校にいろんな国から来た生徒が増えてきました。中国、ロシア、フィリピン、ペルー、ブラジル、韓国、イタリア...まさに国際的だなと感じます。でも、それぞれの母語が違うので、どうやってコミュニケーションを取るのが一番よいのでしょうか?

校長:よい質問だね。まさに今、私たちが直面している課題であり、可能性でもあるんだよ。母語はそれぞれ違うけれど、本校では、国際英語(English as an International Language)を大事にしているんだ。つまり、アメリカ英語やイギリス英語に限定するんじゃなくて、国際的な共通言語として柔軟に使いこなす姿勢を学んでいくということだね。

生徒B:でも、発音や表現って人によって違いますよね。ネイティブの英語に近づけることが大事なんですか?

校長:そこが大切なポイントだよ。勿論、正確な表現力や聞き取りやすさは必要だね。でも、完璧なネイティブらしさを目指す必要はないんだ。国際英語の研究では、英語話者の大多数は非ネイティブ同士だと言われているんだよ。だから、多様な発音や語彙を理解し合う力、そして相手に合わせて調整する力が重要なんだね。

生徒C:なるほど...じゃあ、英語を学ぶことって、単に文法や単語を覚えること以上の意味があるんですね。

校長:そう。国際英語を学ぶことは、相手を尊重しながら自分の意見を表現する練習にもなるんだ。グローバル選抜探究コースでは、英語を使って探究活動をしているんだよ。異なる文化背景を持つ仲間と議論することで、言語力だけじゃなくて、批判的思考や協働する力も育っていくんだ。これは国際社会に出ていくうえで欠かせない力なんだね。

生徒A:国際英語にメリットがあることはよくわかりましたが、まとめをお願いします。

校長:ポイントは三つあるんだよ。第一に、英語は国際的な共通語であるという現実だね。学術、ビジネス、科学技術、どの分野でも英語を介したやり取りが基盤になっているんだ。第二に、国際英語の学習は、多様性を尊重する教育につながるということだよ。"正しい英語は一つだけ"という考えを手放せば、互いの違いを認め合う土壌が広がるんだね。第三に、英語を通じて自分の文化を発信する力が育つということだよ。国際社会で評価されるのは、流暢さよりも、自分の視点や経験を伝えられる力なんだ。

生徒B:確かに、この前もフィリピンから来た友達と話していて、ちょっと表現が違ってもお互いに工夫すれば通じました。大事なのは伝える意志と理解しようとする姿勢なんだなと感じました。

校長:よい気づきだね。その体験こそがグローバル教育の核心なんだ。本校が国際化・共学化を進めているのは、多様な生徒同士が"違いを力に変える"学びを経験してほしいからなんだよ。英語はそのためのツールであり、多文化共生の感性を育てる学びでもあるんだね。

生徒C:将来、海外に出るときも、自信を持って英語を使えるようになりたいです。

校長:その気持ちはとても大事だよ。国際英語は単なる言語スキルじゃなくて、世界とつながるための思考様式であり、自己表現の基盤なんだ。本校を巣立つ皆が、世界各地で仲間と協働しながら、新しい価値を創り出していくことを願っているんだよ。