校長ブログ

EDU-Port ニッポン③ー国境を越えた学び

2025.12.17 グローバル教育

12月17日

『EDU-Portニッポン応援プロジェクト』(文科省)の最終報告作成に向けて、インド1校、フィリピン2校、本校2クラスによるオンライン・プレゼンテーション交流会を実施しました。今回は、中1による「英語×数学」、高1による「英語×プログラミング」のイマージョン授業を、同時間帯に展開しました。

【英語×数学(中1)】

DSC01736.JPG  DSC02106.JPG

DSC02141.JPG  DSC02074.JPG

 フィリピンの San Beda University SHS Manila からは、国紹介を兼ねた英語による数学ゲームの発表がありました。音声認識を活用し、言語・食・文化・スポーツを紹介するプログラムや、四則演算や割り算を扱う数学クイズゲームが実演され、表示時間や音声入力のタイミングといった課題に対して、ブロック構成やアニメーションを工夫した点も共有されました。本校の発表は、中1らしく教科書を基盤とした構成でしたが、フィリピン側の教員からは「ICTを活用した個別最適化が、学校全体のシステムとして機能している」という評価をいただきました。また、フィリピン側からも本校の英語×数学イマージョン授業を取り入れた実践報告を行い、有益であったとのコメントがありました。
 本校からは、英語イマージョンとICTを活用した個別最適化指導、研究授業で扱った図形の面積・体積に関する内容を再度実演しました。双方が提示した図形問題を互いに解答・検証する活動を通して、数学的思考の共通性と、国や文化による視点の違いを実感する機会となりました。総評では、文化と数学の両面で多様な学びが得られたことを確認しました。

【英語×プログラミング(高1)】

DSC07541.JPG  DSC07531.JPG

DSC07489.JPG  DSC07478.JPG

 インド側は、AIを搭載した Pepper を用い、「インド旅行ガイド」として文化・歴史・自然を紹介するデモを行いました。あわせて、マサラティーと抹茶、年長者への敬意といった日印の文化的共通点についての発表もありました。制約のある環境の中で、ループや変数を工夫する経験そのものが学びにつながっている点、文化理解と協働が深まった点は、教員からも高く評価されました。フィリピンの Emus Christian School は、「Pepperをエンターテイナーに」をテーマに、じゃんけんやアニメ当てゲームを実演し、音声認識・画像表示・動作を組み合わせた対話的な体験を提示しました。本校は、Pepperに英語で学校案内をさせる対話型デモを実施しました。音声認識の精度という課題に対しては、キーワードの整理や表現の見直しを行った点を報告しました。

 本プロジェクトが掲げた「インド・フィリピンのパートナー校との協働を通して、日本型教育モデルを海外に発信する」という目標については、一定の成果を得ることができたと考えています。一方で、論理的思考力や表現力のさらなる深化、グローバルな視野の定着という点では、今後の課題も明確になりました。本事業に関わった教員にとっても国際協働の経験は大きな意義がありました。モチベーションの向上に加え、次年度以降も継続したいという声が自然に上がったことは、何よりの成果だと受け止めています。次年度は、中高版 Learning Community の導入など、取り組むべき企画が数多くあります。今後も信頼関係と学びのネットワークを大切にしながら、生徒・教員双方の成長に資する実践を、着実に積み重ねていきたいと思います。