校長ブログ

英語教育を考える㉟-書くことは、自分を見つめること

2025.12.20 教科研究
12月20日

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生徒:校長先生、英語のエッセイがなかなか書けません。最初の一文で止まってしまって...

校長:頭の中にはいろいろ浮かぶけれど、言葉にするのが難しい、という感じかな?

生徒:はい。何を書けばよいか、どう始めればよいか、わからなくて...

校長:それは、誰もが通る道だよ。実は書けない時間こそ、いちばん考えている時間なんだ。

生徒:考えている時間...ですか?

校長:書くというのは、考えることなんだ。言葉を探しているとき、君は自分の考えを形にしようとしているんだね。

生徒:でも、英語だと特に難しいです。文法とか表現とか、間違えたらどうしようって思ってしまいます。

校長:わかるよ。でもね、最初の段階では間違ってもよい。むしろ思い出すことを優先してみよう。

生徒:思いを出す...

校長:プロセス・ライティングという考え方があってね。これは、構想→下書き→推敲→共有という流れを大切にする書き方なんだ。

生徒:へえ、いきなり完成させるんじゃないんですね。

校長:いきなり完璧を目指すより、書きながら考えることが大事なんだ。最初の下書きは、心の声のようなもの。正解じゃなくてよい。

生徒:どうやって書き直していくんですか?

校長:例を出してみようか。最初はI think volunteering is good because people help others.みたいな感じかな。

生徒:シンプルですね。

校長:うん。でも書き直していくうちに、もう少し自分の体験や気づきを加えたくなるんだ。例えば、Through volunteering, I realized that helping others also helps me understand myself.

生徒:なるほど... 自分の中の変化が見えますね。

校長:書き直すたびに、言葉の奥にある自分の思いが見えてくる。それがプロセス・ライティングの一番おもしろいところだよ。

生徒:書くことって、自分と向き合うことなんですね。

校長:書くことは、自分を鏡に映すような行為なんだ。どんな考えを持っているのか、何を感じたのか、それを言葉にすることで見えてくるよ。

生徒:確かに、最初に書いたときと、何回か直した後では、自分の考えが変わる気がします。

校長:そうなんだ。だからこそ、ポートフォリオという形で、書く過程を残しているんだよ。

生徒:エッセイを最初から最後までファイルにまとめるやつですね。

校長:そう。最初の草稿から最終稿まで、全部を取っておく。あとで見返すと、自分の成長がはっきり見えるんだ。

生徒:でも、書くのはやっぱり大変です。

校長:そうだね。でも書くことをあきらめてはダメだよ。君が悩んでいるその時間が、君を成長させているんだから...

生徒:なんだか、少し気が楽になりました。まずは書いてみます。

校長:最初の一行が書けたら、それはもう一歩前に進んだ証拠だよ。

生徒:はい。次のエッセイでは、書きながら考えるを意識してみます!