校長ブログ
日本語教育の空白をどう埋めるか ー 共生社会の実現に向けて
2026.01.09
グローバル教育
1月9日
文科省の最近の調査によると、日本語教室の「空白地域」が全国の38%にのぼるとのこと。日本語を学びたい外国人の方々が住んでいても、学ぶ場そのものが存在しない自治体が4割近くあるという現実を深刻に受け止めなければなりません。
外国人労働者の数は年々増え、地域の農業、水産業、介護、観光など、あらゆる産業を支えています。もはや外国人労働者の受け入れは一時的な対応ではなく、持続的な社会の一部となっています。政府は労働力を確保するため、外国人材の受け入れを拡大してきました。2023年には在留期限のない「特定技能2号」の対象職種に外食業や宿泊業などを追加。出入国在留管理庁によると、25年6月末の在留外国人数は前年末比5%増の395万6619人で、過去最高を更新しています。
しかし、言葉の壁が残されたままでは、仕事の現場での誤解や生活の孤立を生みかねません。日本語教育の空白は、教育課題であると同時に、地域社会の分断につながる危険性をはらんでいます。
注目したいのは、兵庫県が空白地域ゼロを達成していることです。行政、教育機関、地域ボランティアが連携し、日本語学習の機会を確保してきた成果だと言えます。地域全体で、日本語教育を地域づくりの一環と捉える姿勢があるかどうかが、大きな分かれ目になっているのです。
一方で、北海道では外国人労働者が急増しているにもかかわらず、教える人材が不足しています。地方に行けば行くほど人手不足と「言葉の壁」が重なり、支援の届かない人々が生まれています。この課題は教育行政だけで解決できるものではなく、地域社会全体の協働が欠かせません。
また、日本語教室の85%がボランティアによって支えられている現状も見逃せません。市民の善意に頼る段階から、専門性のある支援体制へと転換することが求められています。ICTを活用した遠隔授業や、地域間でのオンライン教室の共有、学校教育との接続など、テクノロジーを活かした新しい仕組みづくりが重要です。
これまで教育現場で「言葉の力」が人を支える場面を何度も見てきました。言葉を学ぶことは、単なるスキルの習得ではなく、文化を理解し、他者と共に生きるための力を育むことです。日本語教育の空白をそのままにしておくことは、共生社会の理念を損なうことにつながります。
外国人材の増加を人手不足の解消としてではなく、新しい社会の仲間を迎える機会として捉えることが大切です。教育の側からできることは、まだ多く残されています。日本語教育を地域の未来づくりの中核に据え、誰もが安心して学び、働き、生きることができる社会を築いていきたいと思います。