校長ブログ

ひらめきを生む大学図書館

2026.01.14 大学進学研究

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 大学の図書館が変わりつつあります。静かに本を読む場所から、学生が自ら学び、仲間と語り合い、新たな「ひらめき」を得る場へと進化しているのです。(本校の「シェア図書館」がそうです)

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 秋田の国際教養大学では、開学以来24時間365日、図書館が開かれています。秋田杉を使った温かみのある空間には、昼夜を問わず学生が集い、それぞれの学びに向き合っています。デジタル化が進み、電子書籍が47万冊を超える中でも、あえて「紙の本を手に取る時間」を大切にしているのが印象的です。本棚を歩く中で偶然出会う一冊が、思いもよらない発想を生むことがある。図書館を「偶然の出会いをつくる装置」と捉える図書館長の豊田哲也教授の言葉には、教育の本質がにじんでいます。現在、博物館や美術館と連携して共同展示会を開催できないかを検討しているそうです。

 一方、東海大学の中央図書館もまた、新しい学びの形を体現しています。静寂を重んじる従来の空間から、対話と共創を促す「開かれた学びの場」へとリニューアルしました。本棚に囲まれたレクチャースペース、ソファやワークテーブルが並ぶアイランドゾーン。学生たちは本と人、個と集団を行き来しながら、自分なりの居場所を見つけています。

 注目すべきは、キャンパス内に設けられたラーニングコモンズ「COVE」です。仕切りのない広い空間に集う学生たちは、食事をしながら議論を交わし、時にパソコンを広げて共同研究に取り組む。そこには「学ぶこと」と「つながること」が自然に交差する、豊かな空気が流れています。図書館長の水島久光教授は「書籍や資料に近いところで対話型の学習ができる。学生同士、学生と資料の距離感を含め、いろいろなパターンを考えて設計した」と述べられています。

 図書館が知識を保管する「倉庫」だった時代は終わりました。いま求められているのは、知識を媒介として新たな価値を生み出す「創造の拠点」です。情報が溢れる社会だからこそ、学生が自分の問いを持ち、仲間と語り合いながら答えを探す―そのプロセスを支えるのが、これからの図書館の使命だと思います。

 学びの場のデザインとは、単に空間を整えることではありません。学生一人ひとりの「学びたい」という心をどう支えるか、そのためにどんな偶然や出会いを仕掛けられるか。図書館の変化は、まさに教育そのものの変化を映し出しています。「静寂から対話へ」。その変化の先にあるのは、学びが個人の内面を越えて社会とつながる瞬間です。図書館がそのハブとなる未来に、強い期待を寄せています。