校長ブログ

英語教育を考える㊵ー語彙ノート

2026.01.22 教科研究

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生徒:語彙ノートって、最近あまり使う意味がないように感じるんです。アプリで覚えた方が早い気がして...

校長:確かにアプリは便利だね。でも、語彙習得は、"覚えたつもり"が一番危険なんだ。ミア(Paul Meara)という語彙習得研究者がいてね。彼の研究を見ると、語彙は"反復・使用・文脈Exposure"の三つが絡み合うときに強く定着することが示されているんだよ。

生徒:そんなに有名なんですか?

校長:語彙習得の研究者の中では著名だよ。特に、語彙ネットワークの形成過程を調べた研究で知られている。人間が単語を単独で覚えるんじゃなくて、関連づけで覚えていくという考え方を体系化したんだ。語彙ノートも、その関連づけを助ける道具の一つなんだ。

生徒:関連づけ...じゃあ、単語をひたすら書くのは意味が薄いのですか?

校長:そうなんだ。例えば、同じ単語を10回書くより、3つの異なる文脈でその単語に出会う方が記憶は強くなる。ミアは、語彙習得は多面的であることがポイントだと述べている。反復の量より質なんだよ。

生徒:質の高い反復って、どうやって作るんですか? 

校長:例えば、見て覚えるだけじゃなく、聞いて理解する、使ってみる、文脈で出会う。全部形が違う。こういう多様な再会を設計することが大事なんだ。

生徒:なるほど。じゃあ、語彙ノートは何の役割をしているんですか?

校長:語彙ノートはいわば、"再会の起点"だね。ミアは、語彙ネットワークが育つ初期段階では、入力の整理が重要だと言っている。ノートを書くことは、その整理を助けるんだ。

生徒:でも、書くだけだとすぐ忘れます...

校長:当然だよ。語彙は使って初めて定着する。つまり、学習者は実際の言語活動で単語を呼び出すプロセスをもつことが大切。使わない語は短期記憶のまま流れてしまうからね。

生徒:使うって、例えば簡単な英文でもいいんですか?

校長:むしろそれで十分だよ。新しい語を使って二文作るだけでも、ノートに書くよりずっと強く記憶に残る。授業でも、今日習った語を必ず1回は使ういう小さなルールを入れるだけで変わる。

生徒:じゃあ、最後の"文脈Exposure"って何ですか?

校長:文脈の中で語に触れることだよ。具体的には、多読、短いスキット、写真や動画からの情報処理、探究活動など、単語が場面の一部として存在する経験のことだね。

生徒:場面の中の単語として出会うって、たしかに覚えやすい気がします。

校長:その直感が大事なんだ。文脈Exposureは、単語を"記号"から"体験"に変える。すると、忘れにくい。

生徒:語彙ノートって、もっと単純なものだと思ってました。

校長:語彙ノートは単なるメモじゃない。君の頭の中に"再会しやすい棚"をつくる作業なんだ。棚をつくったあとは、"反復・使用・文脈Exposure"でそこに意味を置き続ける。それが語彙習得の本質だとミアは教えてくれているんだね。

生徒:なんだか、語彙ノートの見え方が変わりました。書いた後の取り組みが大事なんですね。

校長:その気づきがあれば、語彙習得は必ず伸びるよ。語彙ノートを出発点として使っていけばね。