校長ブログ
英語教育を考える㊸ー5文型再考
2026.02.07
教科研究
2月7日
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国語教員:英語の5文型って、もともとどこから来た枠組みなんでしょうか?
校長:よい質問だね。実は5文型って、英語圏で公式に定められた文法体系じゃなくて、日本の英語教育の中で、1950年代以降に、わかりやすく教えるための整理としてまとめたものなんだよ。海外の文法書には、文型の数がもっと多かったり、そもそも分類の仕方が違ったりするからね。
国語教員:日本で整理されて生まれた、というのは興味深いですね。なぜ、そうした枠組みが必要だったのでしょうか?
校長:当時の英語教育では、動詞の後に何が来て、どんな意味が広がるのかを教育的に整理する必要があったんだよ。そこで、海外の文法研究、例えば、動詞の自動詞と他動詞の考え方、補語(C)の役割などを参考にしながら、日本の学者が基本パターンを5つにまとめたんだね。つまり 、"5" という数字は、学習者にとって扱いやすいように設定された教育的な区分にすぎないんだよ。
国語教員:確かに、授業では使いやすい印象があります。どんな利点が大きいのでしょうか?
校長:一番は、英語の骨格をつかみやすくすること。英語は語順と文の構造が意味を決めるから、S(主語)、V(動詞)、O(目的語)、C(補語)の働きを整理すると、読むときも書くときも理解が早くなるんだよね。特に、SVOC の流れを図で示すと動詞が中心で、意味が後ろへ展開するという感覚がつかみやすい。これは、教師にとっても扱いやすい道具なんだよ。
国語教員:一方で、校長先生は、便利だけど万能ではないともおっしゃっていますよね。
校長:その通りだよ。5文型は整理法としては優れているけれど、英語の実際をすべて説明しきれるわけじゃないんだよ。そもそも動詞は、文脈や意味によって複数の文型を取ることが多いんだよね。さらに、コーパスで実際の英語を見ていくと、文型がきれいに分かれるケースの方が少ない。それに、現代の英語研究では、意味役割、使用場面や頻度、文脈による意味の変化といった視点が重視されていて、文型だけでは捉えきれない部分が多いんだよ。だから、5文型に寄りかかりすぎると、どうしても型の暗記になってしまう危険があるんだね。
国語教員:では、これからの英文法指導では、どんなアプローチが望ましいのでしょうか?
校長:5文型は活用する。ただし、5文型"だけ"で英語を説明しない。この姿勢が大切だと思っているよ。5文型は構造をつかむ入口としては最適なんだよ。でも、そこから先は、文型で構造を理解する、コーパスで本当に使われている形に触れる、意味役割で意味の流れを読む、実際のコミュニケーションで使ってみるというふうに、複数の視点を行き来することが必要なんだよね。要するに、文型は"地図"、実際の英語は"地形"みたいなもの。地図だけでも歩けないし、地形だけでも迷いやすい。両方をセットで学ぶことで、英語力が本当に伸びていくという感じかな。
国語教員:5文型が日本独自の教育文法だったという点、とても新鮮でした。利点と限界の両方を意識して授業を設計することが大切なんですね。
校長:そうだね。文型は便利な道具だけれど、道具は使い方が大事なんだよ。生徒が意味をつかんで、自分の言葉で英語を使えるようにするために、賢く使いこなしていきたいね。
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