校長ブログ

J-POP

2026.02.12 トレンド情報

2月12日

 近年、世界の音楽地図においてJ-POPがこれまでにない存在感を発揮しています。象徴的な例が、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」です。過去2年間で17億回近い再生を記録し、海外で最も聴かれたJ-POPとなりました。アニメ「マッシュル」とのタイアップ効果もありますが、何より独特のサウンドと言語の壁を越える"中毒性"が世界のSNSユーザーの心をつかんだことが印象的です。

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 音楽配信サービスが世界の音楽消費の7割を占める現在、国境を越えたヒットが生まれる環境はすでに整っています。そこに、「アニメ」「ボカロ」(歌声合成技術)「SNSバズ」という日本のネットカルチャーの強みが重なり、独自の広がりを見せています。YOASOBI「アイドル」や米津玄師の楽曲が国や文化を越えて受け入れられている現象は、まさに"文化の越境"そのものと言えます。

 また、ボーカロイド文化の存在も重要です。初音ミクに端を発する「誰もが発信者になれる音楽環境」は、地方の若いクリエイターにも平等にチャンスをもたらし、多様な才能を次々と押し上げてきました。Ayaseや米津玄師がボカロPとして培ってきた"ネット発の創造性"が、世界的ヒットを生み出す源泉となっていることは象徴的です。

 さらに、海外配信を支える専門チームの取り組みや、国境を越えて形成されるファンコミュニティなど、見えない"黒子"の力も非常に大きいと感じます。米欧ではCreepy Nuts、東南アジアではYOASOBIや藤井風、台湾・韓国では米津玄師が強い人気を保つなど、地域ごとの好みもデータとして明確になってきました。

 韓国がK-POPを国家的プロジェクトとして展開し、大きな成功を収めてきた事例は、日本にとっても多くの示唆を与えてくれます。日本でも音楽団体と政府が連携して国際音楽賞を創設するなど、世界に向けた発信の基盤整備が進みつつありますが、日本語曲の米国シェアはまだ約2%にとどまっています。海外公演の拡充や英語での情報発信など、より戦略的な取り組みが求められる段階に来ています。

 J-POPの台頭は「日本の若い創作者の表現力が世界で正当に評価され始めた兆し」と受け止められます。言語の壁に臆することなく、自らの文化を丁寧に磨き、発信し続ける姿勢は、これからのグローバル社会を生きる子どもたちにこそ必要な力です。

 音楽は文化であると同時に、学びの扉でもあります。日本の若者たちが生み出した音楽が世界から愛される今、学校もまた、子どもたちに新しい世界への窓を開く役割を担っていきたいと考えています。国境を越える創造性を育む学校でありたい―そんな願いを、J-POPの躍進があらためて確かなものにしてくれています。

 国際レコード産業連盟(IFPI)によると、2024年の世界音楽市場ランキングは1位が米国、2位が日本、7位が韓国です。また、日本レコード協会の調査では、国内の音楽ソフトと配信の売上高は同年3000億円を超えたと報告されています。こうした背景を踏まえても、日本の音楽文化が世界に向けて一歩大きく踏み出した時代に私たちは立ち会っているのだと感じます。