校長ブログ

読書活動推進事業

2026.03.18 教科研究
3月18日

 本校では、文科省の『読書活動推進事業』において、「一人一台端末を活用した生徒の主体的な読書活動」をテーマに、1年間の実践に取り組んで参りました。

 まず、この取り組みを計画するにあたり、課題を整理しました。大きく四つの課題がありました。第一に、図書館利用の減少です。紙の本の価値は依然として大きいものの、学校図書館に足を運ぶ生徒の数は年々減少傾向にありました。第二に、多言語読書環境の整備とその活用です。本校には海外からの生徒も約36%在籍しており、日本語以外の言語での読書機会の確保が必要でした。第三に、社会とつながる文章への接触機会の減少です。情報が短文化する中で、まとまった文章を読み、社会の課題や議論に触れる機会が少なくなっています。そして第四に、読書と学力育成の結びつきが十分に見えにくいという課題でした。

 こうした課題を踏まえ、ICTを積極的に活用しながら読書環境の充実と地域連携を進めることを目標に設定しました。翻訳機能や外部図書館のデジタル書籍を活用することで、多言語読書を推進するとともに、社会とつながる読書活動を展開することを意識しました。また、読書を単なる活動として終わらせるのではなく、言語能力の育成につなげることを重視しました。

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 具体的なものとしては、まず従来から実施している「朝の読書」を継続しました。加えて、生徒同士が本を紹介し合う「シェア図書館」を年6回実施しました。さらに、大阪市立中央図書館のデジタル書籍を活用し、学校外の知的資源にもアクセスできる環境を整えました。

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 また、読解力と表現力を高めるために「サマライズ・タイム」を設け、指定した文章の要約を書く時間を定期的に設定しました。これは読書を思考と言語のトレーニングとして位置づける試みです。その他、校内読書感想文コンクールや全校ビブリオバトル大会など、生徒が読書体験を他者と共有する機会も充実させました。こうした取り組みの結果、いくつかの成果が見られました。まず、学校図書館の蔵書数は前年から26%増加し、現在は約88,000冊となりました。貸出冊数も11%増加し、生徒の読書への関心が確実に高まっていることが確認できました。

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 また、『アントレプレナーシップ・プログラム高校生Ring』(リクルート)では、本校生徒が全国167校34,206名の応募の中から、1グループが30組のセミファイナリストに選ばれました。併せて、「半径5mの問い100選」では3グループが入賞しました。さらに、『兵庫県私立学校読書感想文コンクール』では中学生が3名、高校生が2名入選するなど、読書を通した思考力・表現力の成果が形となって現れています。海外からの生徒の日本語力にも顕著な変化が見られました。日本語能力試験のレベルで見ると、4月と7月を比べると、N4以下の生徒は33%減少し、N3は12%、N2は17%増加しました。読書活動が語彙力や文章理解力の向上に寄与していることがうかがえます。

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 読書は単なる知識の獲得ではなく、社会を理解し、自分の考えを形成するための基盤です。ICTの時代だからこそ、読書のあり方も進化させる必要があります。本校ではこれからも、デジタルとリアルの双方を活かしながら、生徒が主体的に読む文化を育てていきたいと考えています。読書を通して世界とつながる学びを、今後も大切にしていきたいと思います。