校長ブログ

変化を恐れず、学び続ける組織―スポーツと企業にみるイノベーションの本質

2026.03.05 カリキュラム・マネジメント

3月5日

 近年、強く関心を寄せているテーマの一つに、伝統を持つ組織が、どうすれば変化の渦の中で進化し続けられるのかという問いがあります。そんな中、米大リーグ・ドジャースの取り組みは示唆に富んでいます。

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 ドジャースは150年近い歴史を持ち、大谷翔平選手を擁する人気球団ですが、決して現状に満足しません。オーナーグループが立ち上げた投資会社エリシアン・パーク・ベンチャーズは、約70社のスポーツ系スタートアップに投資し、選手の生体データ活用やファン向けコンテンツの生成など、球団経営へ新たな価値を呼び込んでいます。

 伝統ある組織が、新興企業の刺激を取り込み、自らをアップデートし続ける姿勢は、教育現場にも通じます。「どこでイノベーションが起きているか理解しなければ不意をつかれる」というエリシアン幹部の言葉は重い。学び続けることを止めた瞬間に、組織は急速に劣化していきます。

 一方、日本企業の多くはオープンイノベーションを掲げながら、スタートアップ投資が本業と有機的につながらないまま終わっているケースが少なくありません。形式としてのCVCではなく、革新を経営の中心に組み込む"覚悟"こそが問われています。

 その点、ホンダと日立製作所の取り組みには学ぶべき点が多い。ホンダは20年にわたりスタートアップとの協業を積み重ね、技術を自社製品に採用し、組織文化にまで変化をもたらしてきました。日立もまた、情報収集と事業部連携の両輪を整え、すでに187件の協業と100億円の売上貢献を生み出しています。いずれも時間をかけて「新しい知」を組織に浸透させた結果です。

 学校経営に携わる中で痛感するのは、教育機関もまた同じ構造に置かれているということ。伝統やネームバリューに安住すれば、学校はあっという間に時代遅れになります。外部の優れた知恵や技術を柔軟に取り入れ、学校の文化と接続しながらアップデートし続ける姿勢が求められるのです。

 国は今、AI、量子、半導体、バイオ、核融合、宇宙といった国家戦略技術を掲げています。これらの領域では世界中のスタートアップが競い合っています。大企業が変わらなければいけないように、学校もまた学びを創り出す"知のプラットフォーム"として変化しなければなりません。

 ドジャースのように、伝統と革新が共存する組織は強い。教育現場も、学び続ける姿勢を忘れず、未来を切り拓く子どもたちにふさわしい学校づくりを進めていきたいと思います。