校長ブログ

英語教育を考える㊼ー授業におけるタイムマネジメント

2026.03.03 教科研究

3月3日

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教員:授業で時間配分が崩れてしまうことが多いです。特に、生徒から想定外の質問が出たとき、どう対応すべきか迷ってしまって...

校長:それは多くの先生がぶつかるところだね。英語の授業は、知識伝達型ではなく、意味交渉を伴う学習活動が中心になるから想定外が起きるのは当然だよ。問題は、その瞬間に教師がどんな専門的判断をするか、なんだ。

教員:専門的判断、ですか?

校長:そうだね。タイムマネジメントというと、活動を時間どおりに終わらせるスキルと思われがちだけど、実際には学習目標に照らして優先順位を即時に判断する力のこと。ここで拠り所になるのが、その時間の到達目標やCan-do目標だよ。

教員:Can-doが曖昧だと、判断も曖昧になる、と。

校長:まさにそう。例えば、今日の授業で重視しているのが、「自分の考えを、簡単な理由とともに伝えること」だとしよう。そのとき、文法用語に関する高度な質問が出た場合、それは学習意欲の表れではあるけれど、今この場で深掘りすべき内容かどうかは慎重に考える必要があるね。

教員:質問そのものの質ではなく、目標との関係を見るんですね。

校長:質問は"よい、悪い"で判断するのではなく、この問いが、今の学習活動を前に進めるかどうかで判断するんだ。これができると、授業中の迷いはかなり減るね。

教員:でも、生徒の問いを止めてしまうことにならないでしょうか?

校長:そこで重要になるのが、問いの扱い方だね。That's an interesting point. Let's keep it in mind. We'll come back to it at the end of the lesson. などの短い英語表現で位置づけることで、生徒は自分の考えが授業の流れの中にあると感じられる。これは学習者の主体性を支える対応なんだ。

教員:日本語で説明してしまい、時間を使いすぎることがあります。

校長:それはよくあることだね。でも、教師が日本語で整理すればするほど、生徒の思考は止まってしまう。英語授業では、教師自身が授業運営のための言語行動をどれだけ簡潔にできるかが、時間管理に直結するんだ。

教員:想定外の質問が、クラス全体の思考を深める場面もあります。

校長:あるね。その場合は、予定していた活動を削ってでも扱う価値がある。ただし大切なのは、何を削るかを即座に決めることだよ。ここで全部やろうとすると、授業は必ず中途半端になるよ。

教員:一時間の中で完結させようとしてしまいます。

校長:だからこそ、単元全体で学びを設計する視点が必要なんだ。今日深まった思考を、次の時間の活動や課題につなげる。そう考えれば、その時間に扱えなかった内容でも学習の連続性として意味づけられるからね。

教員:時間管理と、学びの深さはつながっているんですね。

校長:つながっているよ。教師が今、言語の正確さを整える場面なのか、とか、意味や考えをやり取りする場面なのか、などを意識できているかどうかで、判断は変わる。そこを意識している授業には、自然とリズムが生まれるんだ。

教員:校長先生が一番大切にしていることは何ですか?

校長:授業は予定どおり進めるものではなく、学習目標に向かって最適化していくものだということだね。想定外を排除するのではなく、目標との関係で意味づける。タイムマネジメントとは、そのための専門的判断力なんだよ。

教員:考え方が整理できました。

校長:十分だね。英語の授業は、生徒の思考が見える分、教師の力量も試される。時間も問いも、うまく味方につけていこうね。