校長ブログ
英語教育を考える㊽ー評論文の読み方―パラグラフ・リーディング
2026.03.04
教科研究
3月4日
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生徒:英語の評論文って、読んでるうちに話がどこへ行くのか分からなくなります。時間も足りません。
校長:それは多くの生徒がつまずくところだね。結論から言うと、全文を精読しようとするから苦しくなる。大学入試で求められているのは、パラグラフ単位で論の流れを把握する力だよ。
生徒:パラグラフ・リーディングですね。でも具体的に何をすればよいのですか?
校長:まずは、各パラグラフの役割を一文で言語化することだね。英語の評論文は、原則としてパラグラフごとに一つの主張、いわゆるOne paragraph one ideaとなっている。多くの場合、トピック・センテンスが冒頭か2文目に置かれているよ。
生徒:最初の一文が大事なんですね。
校長:そうだね。ただし機械的に最初だけ見ればよいというものでもない。接続語に注目することが大切なんだ。接続語とは、However, For example,Thereforeといったディスコース・マーカーのこと。筆者の思考の方向性とも言えるね。逆接なのか、具体化なのか、結論なのかなどを瞬時に判断するスキルが速読につながるんだ。
生徒:なるほど、道しるべを見る感じですね。
校長:よい比喩だね。二つ目は、パラグラフ間の関係を読むこと。評論文は、問題提起→背景説明→筆者の主張→根拠→含意という構造を取ることが多い。今読んでいるパラグラフが、全体のどこに位置しているかを常に意識するんだよ。
生徒:それって難しそうです。
校長:最初はね。少し専門的に言わせてもらうと、人間のワーキングメモリには限界がある。単語や文法を一つずつ処理していると容量が足りなくなる。だからこそ、意味のかたまりとも言えるパラグラフで処理することで、認知負荷を下げるんだ。
生徒:脳の使い方の問題なんですね。
校長:その通りだよ。三つ目は、具体例は深追いしないこと。評論文の例示は、主張を支える材料にすぎない。設問に関係しない限り、これは前段の主張を補強していると確認したら先へ進む勇気が必要だね。
生徒:つい全部理解しようとしてました...
校長:それが日本の英語学習の癖だね。四つ目は、自分に問いを投げるメタ認知だよ。この段落で筆者は何を言いたい?、前の段落とどうつながる?と、読みながら自問する。これで理解がズレたら、すぐ修正できる。
生徒:読みながらチェックする感じですね。
校長:そう。まさにセルフ・モニタリングだね。最後に一番大事なこと。パラグラフ・リーディングはテクニックだけど、土台には語彙と背景知識(スキーマ)がある。教育、科学、文化といった頻出テーマについて、日本語でよいから考えておくと、英語でも意味が立ち上がりやすくなるよ。
生徒:英語だけじゃなく、普段の学びも大事なんですね。
校長:そうだね。英語の評論文は、知的対話の入り口だよ。段落ごとに筆者と対話するつもりで読めるようになると、速度も正確さも自然に上がる。早い段階から意識すれば、入試本番では必ず強みになる。焦らず、構造を読む練習を積み重ねていこう。
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