校長ブログ

α世代と共に②

2026.03.12 グローバル教育

3月12日

 α世代は、その規模において、すでに歴史的な存在です。20億人を超える人口は、約100年前の世界の総人口に匹敵します。しかし重要なのは人数の多さそのものではなく、その分布と意味です。α世代の約3割はアフリカに集中し、少子化が進む欧州や東アジアの比率は相対的に低下しています。世界の重心が、静かに、しかし確実に移動しているのです。

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 アフリカ諸国の中でも、とりわけ人口が多いのがナイジェリア。同国の国家情報技術開発庁長官が「世界は人材不足が予測されるがナイジェリアは若い人が多い」と語る言葉は、未来の競争力が資源や資本ではなく「人」にあることを端的に示しています。若い世代の才能とエネルギーをどう引き出すか?その教育の質こそが、国や地域の行方を左右する時代に入っています。

 α世代は、21世紀後半に向けて経済活動の中心的な担い手となります。消費に占める存在感も着実に高まり、今世紀中ごろには、現在のZ世代やY世代と肩を並べる規模に達すると見込まれています。ただし、彼らが支える経済は、これまでの拡大モデルとは異なります。世界人口は2080年代に減少へと転じ、かつて成長を牽引してきた新興国も低成長局面に入ります。量の拡大ではなく、質の転換が求められる社会です。

 では、その担い手となるα世代は、どのような価値観を持っているのでしょうか?特徴的なのは、多様性や持続可能性、そしてグローバルな視点を自然な前提としている点です。文化や背景の違いを特別なものとしてではなく、社会の標準として受け止めています。これは、上の世代から受け継いだ価値観であると同時に、日常的に世界と接続されてきた環境の影響でもあります。

 消費行動にも、その姿勢は表れています。ブランドや所有よりも、体験や時間の使い方を重視する傾向が強い。短い時間でも納得感のある経験を選ぶ感覚は、学校での学びにも通じます。彼らはどれだけ学んだかよりも、何を感じ、どう考えたかを重視しているように見えます。

 また、膨大な情報に囲まれて育った世代でもあります。リアルな声、オンラインの評価、SNS、そしてAI。それらを分け隔てなく行き来しながら、自分なりの判断軸をつくっていく。この環境下では、単に情報を与える教育は機能しません。むしろ、情報とどう向き合うか、どう意味づけるかを共に考えることが求められます。

 世界の構造が変わる中で、α世代はその変化を「背負う世代」ではなく、「更新する世代」なのかもしれません。教育に求められるのは、未来を教えることではなく、未来と向き合う力を育てること。その覚悟が、いま私たち大人に問われているのだと感じています。