校長ブログ

18歳

2026.04.01 トレンド情報

4月1日

 成人年齢が18歳に引き下げられてから、4度目の成人の日を迎えました。明治以来146年ぶりに「大人」と「子ども」を分ける線が引き直されたこの改革は、当初、社会に大きな戸惑いと不安をもたらしました。しかし4年を経た今、少し冷静に、その意味と成果を振り返る段階に来ているように思います。

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 2022年4月の民法改正により、18歳は親の同意がなくても、クレジットカードや携帯電話の契約、ローンの締結が可能になりました。法的には、18歳は、自分の判断で責任を負う存在として位置づけられたのです。一方で、大学進学率の上昇を背景に、18歳時点で経済的に自立している若者は決して多くありません。1955年には中学卒業後すぐに社会に出る若者が多数派でしたが、現在では高卒者の6割以上が大学へ進学しています。社会構造そのものが大きく変化している中での成人年齢引き下げだったと言えるでしょう。

 それでも注目すべきは、若者自身の意識の変化です。博報堂の調査では、18〜20歳の7割以上が「18歳は大人だ」と回答しています。法によって一方的に「大人にされた」のではなく、当事者としての自覚が着実に芽生えていることがうかがえます。山下純司氏(学習院大学教授)が指摘するように、たとえ少額であっても、早い段階から契約を経験し、自ら判断する機会を持つことには大きな意義があります。選択肢があるという事実そのものが、人を成長させるのです。

 政治参加の面でも変化は見られます。選挙権年齢が18歳に引き下げられて以降、10代の投票率が20代を上回る選挙も珍しくありません。学校現場では「公共」科目の新設をはじめ、模擬選挙や学校ルールづくりなど、主権者教育が着実に根付いてきました。自分たちの声が社会を動かすという実感は、教科書だけでは身につきません。実践を通してこそ育まれるものです。

 一方で懸念されていた消費者トラブルについては、相談件数はむしろ減少傾向にあります。国は事業者に対し、若者の理解度に応じた丁寧な説明を求める制度整備を進め、学校現場でも消費者教育の充実が図られています。「守る」だけでなく、「学ばせる」「判断できる力を育てる」方向へと舵が切られている点は評価すべきでしょう。

 少年法の改正により、18、19歳は「特定少年」として、より大人に近い責任を負う立場になりました。これは厳しさであると同時に、社会の一員として真正面から向き合う覚悟を求められているとも言えます。

 成人式については、多くの自治体が引き続き20歳を対象としています。18歳が大人になったからといって、すべてを一律に変える必要はありません。大切なのは年齢ではなく、その意味をどう社会で共有するかです。

 18歳成人とは、早く大人にする制度ではありません。選択し、失敗し、学び直せる大人を育てるための仕組みです。教育の役割は、若者を過度に保護することでも、突き放すことでもありません。自分で考え、決断し、社会と関わっていく力を、丁寧に育て続けること。その積み重ねこそが、この改革を本当の意味で実りあるものにすると考えます。