校長ブログ
英語教育を考える53:文法用語
2026.04.09
英語教育
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4月9日
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高1生:英語の文法用語って、正直ややこしすぎませんか?
校長:主語、補語、関係代名詞、現在完了形等々、名前だけ並ぶと、英語というより"説明書の言葉"に見えてくるよね。
高1生:そうなんです。英語を勉強してる気がしなくなるというか...
校長:今、君は"英語"と"英語を説明する言葉"の違いに気づき始めている。それがね、メタ言語意識の入り口なんだ。
高1生:メタ...?
校長:簡単に言うとね、言葉を使いながら、同時に、その言葉の仕組みや働きについて考える力のこと。つまり、英語を使うだけではなくて、英語がどういう仕組みでできているかを考える視点だね。
高1生:なるほど...
校長:文法用語ってね、英語そのものじゃない。英語を説明するためのラベルのようなもの。例えば、電車を思い出してごらん。JR神戸線とか阪急神戸線って名前はあるけど、電車に乗るときに「今、私はJR神戸線という路線名を意識して移動している」なんて考えないでしょ?
高1生:はい。
校長:英語も同じだよ。話すとき、聞くとき、読むとき、本来は意味に集中している。でも、迷ったときに全体を整理するための"路線図"のようなものとして、文法用語が役に立つ。その切り替えが、メタ言語意識なんだ。
高1生:じゃあ、文法用語を考えすぎるのはよくないんですか?
校長:常に前に出す必要はないね。文法用語ばかり気にして英語が使えなくなるのは、本末転倒だよ。でもね、まったく意識しないままだと、伸び悩むこともあるね。
高1生:どういうときですか?
校長:例えば、長い英文が読めなくなったとき。そんなときに、「この文の中心はどこだろう」「このthat節は何を説明しているんだろう」と一段上から見られると、英文が整理される。これは英語力というより、英語を対象化する力なんだ。
高1生:対象化...
校長:そう。英語を一度、学習の対象として眺める。そのときに文法用語が役に立つ。だから文法用語は、英語を使う力そのものじゃなくて、英語を学び直すための視点なんだよ。
校長:ここで大事なのは距離感だね。文法用語に振り回されない。でも、必要なときにはきちんと使う。そのバランスが、これからの高校英語ではとても大切になるよ。
高1生:授業でも英語の先生方が用語を使われますよね?
校長:うん。だから最低限は押さえよう。ただしね、用語を覚えること自体をゴールにしないこと。用語は"できるようになった証拠"じゃない。"考え直すための道具"なんだ。
高1生:じゃあ、どうやって付き合えばよいんですか?
校長:意識してほしいのは、用語は必ず意味や働きとセットで理解すること。必ず具体的な英文の中で確認すること。そして、分からなくなったときに立ち戻る視点として使うこと。普段は前に出さなくていいね。
高1生:なんだか、文法用語の役割が変わって見えてきました。
校長:それでいいんだよ。英語は人とつながるための言葉だ。その言葉を少し離れて見つめ直す力が、メタ言語意識だね。文法用語は、そのための裏方とも言えるね。
高1生:主役じゃないけど、必要なときがあるんですね。
校長:その通り。だから、ほどよい距離で付き合えばいいんだよ。
高1生:スッとしました。なんか、文法用語がちょっと優しく見えてきました。
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