校長ブログ
大学の年内入試
2026.05.25
大学進学研究
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5月25日
文科省が示した、年内入試における面接必須化の方針は、制度の運用をめぐる長年の揺らぎに一つの方向性を与えるものです。総合型選抜や学校推薦型選抜は、本来「人物重視」「多面的評価」を理念として設計されてきました。しかし現実には、学力試験の比重が拡大し、「一般選抜の前倒し」とも言える状況が一部で生じていました。この「ねじれ」をどう是正するかは、高大接続の根幹に関わる問題です。
今回の面接必須化は、評価の軸を「知識量」から「資質・能力」へと引き戻す試みとして評価できます。特に、学習意欲や適性、これまでの学びのプロセスを丁寧に見取るという点で、教育の本質に立ち返る契機となるでしょう。一方で、面接の導入は大学側にとって運営負担の増加を意味し、規模の大きい選抜では現実的な制約も無視できません。制度の理念と運用可能性のバランスが問われています。
高校現場の視点から見れば、年内入試のあり方は日々の教育活動と直結しています。もし年内における学力試験の比重が高まれば、生徒は早期から受験対策に傾斜し、カリキュラム全体の学びが歪む可能性があります。従って、入試制度の設計は、高校教育の質保証と不可分であるという認識が不可欠なのです。
また、大学側が抱える「早期確保」の論理も理解できます。少子化の進行により、学生募集は経営課題そのものです。しかし、その対応が短期的な囲い込みに傾けば、結果として入学後のミスマッチや学業不振を招きかねません。重要なのは、「どのような学生を、どのような教育で育てるのか」という教育理念と、入試方法との整合性です。ここにこそ、大学のガバナンスとマネジメントの力量が問われます。
今回の議論で注目すべきは、「2年前ルール」を踏まえた移行期間の設定です。これは単なる制度変更の猶予ではなく、高校・大学双方が教育内容と評価方法を再設計するための時間と捉えるべきです。形式的な対応に終わるのか、それとも高大接続の質的転換につなげるのか。この数年間の取り組みが将来を左右します。
入試はゴールではなく、学びのスタートライン。だからこそ、評価の方法は教育のあり方と一体でなければなりません。今回の見直しを契機に、何を学び、どのように評価するのかという問いを、高校と大学が共同で深めていくことが求められています。制度の細部にとどまらず、教育の本質に立ち返った議論が進むことを期待しています。