校長ブログ

英語教育を考える65-仲介

2026.06.30 英語教育

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校長:最近、2020年版のCEFR Companion Volumeを改めて読み返していてね。「仲介(Mediation)」の位置づけが、やはり重要だと感じているんだよ。

ネイティブ教員:そうですね。以前の「読む・書く・聞く・話す」という4技能に比べて、より実際のコミュニケーションに近い概念ですよね。単に言語を使うだけじゃなくて、人と人の間をつなぐ役割ですから。

校長:まさにそこだね。4技能はあくまで個人の能力としての言語運用だった。でも仲介は「関係性」の中で言語を捉える視点だよね。例えば、異なる文化背景をもつ人同士の理解を支えるとか、専門的な内容をわかりやすく言い換えるとか。

ネイティブ教員:ええ、授業でもそれを感じます。生徒たちは英語で発表すること自体はできる。でも、相手に伝わるように調整する、あるいはクラスメートの発言を補足する、そういう場面になると難しさが出てきます。

校長:そこにこそ教育の価値があるんじゃないかな。単に正確に話すことよりも、「どう橋渡しするか」という視点だね。これは英語教育でありながら、同時に多文化理解教育でもある。

ネイティブ教員:確かに。特に日本の教室では、意見の違いを調整する経験が少ない場合もありますよね。仲介活動は、そのギャップを埋める良い機会になると思います。

校長:例えば、グループ・ディスカッションの中で、一人の意見を別の生徒が要約して伝えるとか、あるいは異なる意見を統合して新しい提案をつくるとか。そういう設計を意図的に入れていく必要があるね。

ネイティブ教員:それは面白いですね。評価の観点も変わりそうです。単に「どれだけ話したか」ではなく、「どれだけ他者の理解を支えたか」を見ることになります。

校長:その通りだよ。評価もカリキュラムも一体で設計しないといけない。仲介を重視するなら、ルーブリックも変わるし、授業の問いも変わる。例えば、「あなたの意見は何か」ではなく、「相手の意見をどう整理し、次につなげるか」といった問いだね。

ネイティブ教員:なるほど。そうすると、生徒同士の相互作用が中心になりますね。教師が正解を示すのではなく、生徒が意味を共同で構築していく。

校長:うん、それがこれからの英語教育の方向性だと思うよ。特にグローバル社会では、単に英語が話せるだけでは不十分だ。異なる価値観をつなぎ、新しい理解を生み出す力が求められる。

ネイティブ教員:実際の社会に近いですね。会議でも、通訳でも、教育でも、仲介の力は不可欠ですから。

校長:だからこそ、学校段階でその基盤をつくる必要があるんだ。言語を「道具」として使うだけでなく、「関係を創る手段」として位置づける。その転換が、CEFRの仲介概念には示されていると思うんだよ。

ネイティブ教員:今日の話を聞いて、授業の設計を見直したくなりました。もっと仲介活動を意識的に取り入れてみます。

校長:ぜひやってみてほしいね。そして、実践を通して見えてくるものを、また共有していこう。カリキュラムは常に更新されるべきものだからね。