校長ブログ
コロナ禍の教訓
2026.06.03
学校生活
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6月3日
新型コロナウイルス感染症によって、学校生活が大きく揺さぶられました。あの休校の日々、オンライン越しにしかつながれなかった教室の光景は、今もなお記憶に鮮明です。感染拡大を防ぐために必要な措置であったとはいえ、子供たちの成長の機会が大きく制限されたことは否定できません。

国立成育医療研究センターの調査によれば、「神経性やせ症」で受診した20歳未満の患者は、コロナ禍以前と比べて約5割増加。感染への恐怖、孤独感、外遊びの制限によるストレスが複合的に影響した可能性が指摘されています。数値は冷静ですが、その背後にある一人ひとりの心の叫びを重く受け止めなければなりません。
世界全体を見れば、感染者は膨大な数にのぼりました。ワールドメーターによると、2024年までに7億人以上が感染したとされています。感染症法上の位置づけは変わりましたが、影響が消え去ったわけではありません。子供たちの中には、言葉にできないトラウマを抱えている場合もあるでしょう。
さらに懸念されるのは乳幼児期の発達です。エディンバラ大学などの研究チームは、ロックダウン期間が長いほど、言語能力や手先の器用さ、感情のコントロールといった発達に遅れがみられる可能性を報告しました。幼児期における他者との関わりは、単なる遊びではありません。社会性や共感性の基盤を育てるかけがえのない時間です。その時間が奪われた意味を慎重に考える必要があります。
また、コロナ禍を経て顕著になったのがスクリーンタイムの増加です。早稲田大学の研究では、画面を見る時間が長い子供ほど体力テストの成績が低い傾向が示されました。オンライン学習は重要な教育的選択肢ですが、身体活動や対面での関わりを完全に代替するものではありません。デジタルとリアルの最適なバランスをどう設計するかは、これからの学校経営における大きな課題なのです。
学力面でも影響は広がっています。国連児童基金は、世界の子供たちの学力が平均で7カ月から1年分低下したと報告しました。単なる点数の問題ではありません。学びに向かう意欲や自己効力感の低下こそ、より深刻かもしれません。
コロナ禍を単なる「非常事態」として総括するのではなく、教育の在り方を問い直す契機とすべきと考えます。感染症への備えはもちろん重要です。しかし同時に、子供がストレスをため込まず、助けを求めやすい環境をどう整えるか、学校と家庭、地域がどう連携するかを具体化しなければなりません。
国境を越えた往来が再び活発になる中、次のパンデミックが起こらない保証はありません。だからこそ、私たちは「学びを止めない」仕組みと同時に、「成長を止めない」環境を構築する必要があるのです。心身の発達、社会性、体力、学力等を総合的に捉える取り組みが求められています。子供たちの未来は、社会全体の未来です。あの経験を風化させることなく、教訓として次世代の教育設計に生かしていく。それが、今を生きる私たち大人の責務だと強く感じています。