校長ブログ

スポーツクライミング部が教えてくれたこと

2026.06.05 クラブ・生徒・教職員紹介

この記事は音声でも、お聴きいただけます。

6月5日

 4年前、本校のスポーツクライミング部は、たった一人の生徒の「やってみたい」という熱い願いから始まりました。設備も実績もない中で、その声にどう応えるかを考えたとき、教育の原点に立ち返るような思いがしました。目の前の一人の願いを、私たちはどこまで真摯に受け止めることができるのか。その問いが、すべての出発点であったように思います。
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 やがて、その小さな声は少しずつ周囲に広がり、同じ思いを抱く仲間が増えていきました。そして何よりも大きな力となったのが、保護者の方々の存在です。とりわけ中心となってくださったご夫妻は、子どもたちの思いを実現するために、自ら行動を起こされました。活動の場を確保するために神戸市と丁寧に対話を重ね、地域との信頼関係を築きながら、ついにはNPO法人の立ち上げられました。その一つ一つの歩みには、子どもたちの可能性を信じ抜く強い意志と、未来を共に創ろうとする温かなまなざしがありました。

 現在では、部員は18名となり、日々いきいきと壁に向かう姿が見られます。互いに励まし合いながら挑戦を重ねるその姿には、単なる技能の向上にとどまらない、人としての成長が確かに表れています。このような発展は決して偶然ではなく、生徒の内発的な願い、保護者の献身的な支え、そして地域社会との協働が重なり合って生まれたものです。

 カリキュラム・マネジメントの観点から見ても、この取り組みは示唆に富んでいます。学びは、あらかじめ用意された枠組みの中だけで完結するものではなく、学習者の思いを起点として、多様な主体が関わりながら創り上げられていくものです。本校のスポーツクライミング部の歩みは、そのことを実感させてくれる大切な実践の一つです。

 一人の「やってみたい」という願いが、多くの人の心を動かし、ここまでの広がりを生み出したことに、深い喜びと感謝の気持ちを抱いております。これからも、生徒一人ひとりの声に丁寧に耳を傾けながら、保護者や地域の皆さまと手を携え、ともに学びを育んで参ります。教育とは、関わるすべての人が支え合いながら紡いでいく営みであることを、この歩みがあらためて教えてくれました。