校長ブログ

英語教育を考える69ーオーバーラッピング

2026.07.27 英語教育

この記事は音声でも、お聴きいただけます。

7月27日

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校長:最近、授業でオーバーラッピングをやっているね。

高1:はい。でも正直、これって何の意味があるんだろう?って思っていました。

校長:今日はその話を少ししようか。

高1:お願いします。そもそも、オーバーラッピングって何なんですか?

校長:簡単に言えば、英語音声と同時に英文を読む練習だね。

高1:同時に?

校長:そう。ネイティブの音声を聞きながら、ほぼ同じタイミングで、自分の声を重ねる。だから"overlap"、つまり"重なる"なんだよ。

高1:ああ、だからあんなにピッタリ合わせるんですね。

校長:単に読むだけじゃなくて、イントネーションやリズム、間の取り方まで真似するんだ。

高1:シャドーイングとは違うんですか?

校長:似ているけれど違うね。シャドーイングは、少し遅れて追いかける。でもオーバーラッピングは、"同時に重なる"ことを目指すんだ。

高1:なるほど。

校長:だから、発音練習としてもかなり効果があるんだよ。

高1:でも、最初は全然ついていけませんでした。

校長:それでいいんだよ。最初から完璧にできる必要はない。

高1:いいんですか?

校長:大切なのは、英語の音の流れを身体に入れることだからね。

高1:身体に入れる、ってよく言いますよね。

校長:英語はね、頭だけで学ぼうとすると限界があるんだ。

高1:頭だけ?

校長:そう。日本の英語教育は、どうしても読むことや訳すことに偏りやすい。

高1:確かに、単語とか文法とか。

校長:もちろん知識は必要だよ。でも、本来の言語は音声なんだ。

高1:音声。

校長:例えば、"I want to go."を、日本語的に読むと、"アイ・ウォント・トゥ・ゴー"って区切るよね。

高1:はい。まさにそう読んでいました。

校長:でも実際の英語は、"I wanna go"みたいに流れる。

高1:全然違いますね。

校長:英語が聞き取れない理由の一つは、実際の音の流れを経験していないことなんだ。

高1:だからオーバーラッピングで慣れるんですね。

校長:そう。英語特有のリズムや音のつながりを、身体感覚として覚えていく。

高1:スポーツみたいですね。

校長:かなり近いよ。スポーツも、フォームを身体で覚えるでしょう?

高1:はい。

校長:第二言語習得の研究でも、自分で再現できる音は聞き取りやすくなると言われているんだ。

高1:へえ。

校長:つまり、話すことと聞くことは別じゃないんだよ。

高1:最近、少しリスニングが聞こえるようになった気がします。

校長:それは自然な変化だね。

高1:やっぱり効果あるんですね。

校長:うん。特にオーバーラッピングは、英語を瞬時に処理する力も鍛えられるからね。

高1:瞬時に処理する力?

校長:聞きながら、理解しながら、同時に発音するでしょ?

高1:はい。

校長:つまり、英語をリアルタイムで扱う力なんだ。英会話って、ゆっくり考えている時間があまりないからね。

高1:確かに。

校長:それに、オーバーラッピングは、発音だけじゃなくて、英語のリズム感を育てる。

高1:リズム感。

校長:日本語は比較的、均等なリズムなんだ。でも英語は、"強く読む音"と"弱く流れる音"がある。

高1:だからネイティブの英語って速く感じるんですね。

校長:そう。全部を同じ強さで読んでいないからね。

高1:でも、最初は意味を考える余裕がないです。

校長:最初はそれでいいんだよ。

高1:意味を完璧に理解しなくても?

校長:まずは"英語の音楽"に身体を合わせることが大事なんだ。

高1:英語の音楽。

校長:好きな曲って、聴くだけじゃなくて口ずさむからね。

高1:あ、それはあります。

校長:英語も近いんだよ。音を身体で覚える。

高1:なんか、勉強というより練習ですね。

校長:その感覚は大事だね。

高1:オーバーラッピングって、受験にも役立ちますか?

校長:もちろん。リスニング力も上がるし、英文を前から処理する力もつく。

高1:やっぱり。

校長:でもね。

高1:でも?

校長:受験のためだけの英語にはしたくないね。

高1:どういうことですか?

校長:言語は、本来人とつながるためのツールだからね。

高1:つながるためのツール?

校長:そう。間違えないことより、相手に向かって声を出すことが大切なんだ。

高1:なんか、今日ちょっと英語の見え方が変わりました。

校長:それはよかった。

高1:じゃあ、これからはただ読むじゃなくて、"重なる"ことを意識します。

校長:うん。"重なる"ことで、少しずつ自分の言葉にしてほしいな。