校長ブログ
秋入学と英語化ー大阪公立大学の場合
2026.07.02
大学進学研究
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7月2日
大阪公立大学が打ち出した秋入学の導入と、英語を基軸とした新学部構想は、日本の高等教育における一つの転換点であると感じます。単なる制度変更ではなく、どのような人材を育てるのかという根源的な問いに対する明確な意思表示だからです。
とりわけ注目すべきは、「カレッジ・オブ・クリエイティブ・スタディーズ(仮称)」に象徴される分野横断型・英語運用型のカリキュラムです。学生が自ら科目を組み合わせ、社会課題に対して探究的にアプローチする設計は、従来の学部・学科の枠組みを大きく越えています。ここでは、知識の獲得そのものよりも、知識を「どう使うか」「どうつなぐか」が問われているのです。
この動きは、高校教育にとっても決して無関係ではありません。むしろ、より本質的な影響を及ぼすでしょう。例えば、英語での授業が前提となる環境においては、「読む・聞く・書く・話す」という4技能を統合的に運用する力が不可欠です。従来の文法中心・読解中心の授業だけでは、大学での学びに円滑に接続することは難しくなります。
また、学生自身がカリキュラムを編成するという前提に立てば、高校段階での「主体的な学び」の質も問われます。単に探究活動を実施するだけでなく、どのような問いを立て、どのような知を組み合わせていくのか。そのプロセスを言語化し、他者と共有する力が求められるのです。
さらに、秋入学の導入は時間の構造そのものを変えます。日本の学校文化は4月始まりを前提として精緻に設計されてきましたが、グローバルスタンダードとの接続を考えると、柔軟な学習歴の設計が不可欠になります。高校から大学への接続も、「一斉・一方向」から「多元的・往還的」なものへと変わっていくでしょう。飛び入学や短期留学の必修化は、その象徴的な取り組みと言えます。
私はこれを、「接続」の問題から「共創」の問題への転換だと捉えています。これまで高校は大学への準備教育として位置づけられがちでした。しかし今後は、大学と高校が同じ方向を向きながら、カリキュラムを共に設計していく関係が求められます。
大阪公立大学が掲げる「国内外から選ばれる大学」というビジョンは、そのまま高校にも突きつけられています。すなわち、生徒や保護者、さらには世界から選ばれる学校とは何かという問いです。制度改革の動きを外在的な変化として受け止めるのではなく、自校の教育を再設計する契機として捉えることが重要です。
教育は、常に社会の変化とともにあります。しかし、変化に追随するだけでは不十分です。どのような未来を構想し、その実現に向けてどのようなカリキュラムを編成するのか。今回の動きは、私たち教育に携わる者一人ひとりに、その覚悟を問いかけているように思います。