校長ブログ
英語教育を考える70ー英語は『教えるもの』から『使うもの』へ
2026.08.05
英語教育
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8月5日
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校長:最近、「英語教育法として何が一番優れているのですか」と聞かれることが多いんだよね。
教員:コミュニケーション重視がよいのか、それとも文法をしっかり教えるべきなのか、現場では今も議論があります。
校長:実は、その問い方自体が少し古くなっているんだよ。現在の第二言語習得研究では、コミュニケーションか文法かという対立ではなく、それらをどう統合するかが重要だと考えられているんだね。
教員:統合というのは、具体的にはどういうことですか?
校長:まず土台になるのがコミュニカティブ・アプローチだよ。この考え方は、言語はルールを覚えるためにあるのではなく、意味を伝えるためにあるという前提に立っているんだ。
教員:英語を知識として学ぶのではなく、コミュニケーションの道具として学ぶわけですね。
校長:その通りだね。ところが、単に英語で会話をさせればよいという話ではないんだよ。そこで登場するのがタスクベース学習なんだ。
教員:最近よく耳にするタスクベース言語教育(TBLT)ですね。
校長:そう。例えば、「海外の生徒に神戸の魅力を紹介する」「地域課題について英語で提案する」といった課題を設定するんだ。生徒は課題を達成するために英語を使う。つまり、英語学習が目的ではなく、課題解決のための手段になるわけだね。
教員:実際の社会に近い学びになりますね。
校長:そうなんだよ。Rod Ellisらの研究でも、学習者同士が意味を交渉しながらやり取りすることが言語習得を促進すると指摘されているんだ。
教員:ただ、タスクだけでは文法が身につかないという声もあります。
校長:そこが非常に大切な点だね。実は近年の研究では、明示的文法指導の重要性も改めて確認されているんだよ。
教員:文法を教えること自体は否定されていないのですね。
校長:むしろ必要なんだ。ただし、昔のように文法事項を順番に説明して終わるのではないんだよ。生徒がコミュニケーションを行う中で必要となる文法に焦点を当てる。これをFocus on Formと呼ぶんだね。
教員:意味中心の活動と文法指導を結び付けるわけですね。
校長:その通りだよ。例えば、プレゼンテーションの前に比較表現を整理する。意見交換の前に助動詞や仮定法を確認する。こうした指導は学習効果が高いことが分かっているんだ。
教員:すると、授業づくりの考え方も変わりますね。
校長:そうだね。まず生徒にどのような力を育てたいのかを考える。そして、その力を発揮するタスクを設計する。さらに、そのタスクを成功させるために必要な語彙や文法を位置付けるんだよ。
教員:文法から出発するのではなく、学習目標から逆算するのですね。
校長:まさにカリキュラム・マネジメントの考え方だね。教科書を教えることが目的ではないんだ。生徒が将来、どのように英語を使うのかを見据えながら教育課程を設計することが重要なんだよ。
教員:英語教育が学校全体の教育目標とつながってきますね。
校長:そうなんだ。英語教育は単なる語学教育ではないんだよ。多様な人々と協働し、自分の考えを発信し、社会課題の解決に参画する力を育てる教育なんだ。そのためには、コミュニカティブ・アプローチを基盤に、タスクベース学習と明示的文法指導を有機的に結び付けることが不可欠だね。
教員:これからの英語教育の方向性がよく分かりました。
校長:英語を「教えるもの」から「使うもの」へ。その転換こそが、これからの学校教育に求められていることだと私は考えているんだよ。
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