校長ブログ
情報を「疑う」ことから始まる学び
2026.08.20
学校生活
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8月20日
GIGAスクール構想によって、一人一台端末の環境が整備されてから、学校の風景は大きく変わりました。子どもたちは日常的にインターネットを活用し、調べ学習だけでなく、スライドや動画を作成し、自分の考えを発信することが当たり前になっています。

しかし、この変化は単なるICT活用の広がりではありません。学校教育そのものに、「情報とどのように向き合うのか」という新しい問いを投げかけています。
最近、ある小学校で実践されている情報モラル教育の事例を知りました。授業では、実際に拡散されたフェイクニュースの特徴を分析し、「なぜ人はその情報を信じてしまうのか」を考える学習が行われていました。「不安をあおる表現」「興味を引く見出し」「写真による印象づけ」など、情報が人の心理に与える影響について、子どもたちは対話しながら学んでいきます。
さらに、子どもたちは発信者の立場を想定し、「どのような表現だと信頼してしまうのか」を考えながら記事づくりに取り組みます。もちろん、これは人をだますことを目的とした活動ではありません。情報がどのように構成され、どのように受け取られるのかを理解するための学習です。一見すると意外に感じるかもしれませんが、非常に本質的な学びであるように感じました。
これまでの情報モラル教育は、「危険なサイトを見ない」「個人情報を書き込まない」といった注意喚起型の指導が中心でした。もちろん、それらは今後も重要です。しかし、現代の情報社会では、それだけでは十分ではありません。
なぜなら、子どもたちはすでに情報の受け手であるだけでなく、発信者にもなっているからです。例えば、子どもたちは活動を通して、「タイトルだけで信じてしまいそうになる」「写真があると本当らしく感じる」「専門家の言葉や数字があると説得力が増す」といったことに気づいていきます。そこには、「人はなぜ情報を信じるのか」を自分自身で考える学びがあります。
単に「だまされないようにしよう」と教えるのではなく、「なぜ信じてしまうのか」を分析し、立ち止まって考える力を育てることが、これからの時代に必要な情報リテラシーではないでしょうか?現在、学校教育では「主体的・対話的で深い学び」が重視されています。その中でICTは、単なる便利な道具ではなく、思考を深め、社会とつながるためのツールとして位置づけられるべきだと考えています。
本校でも、オンライン交流や探究学習、プレゼンテーション活動などを通して、子どもたちが自ら発信する機会を大切にしています。地域について調べ、取材し、自分たちの言葉で伝える。その経験を通して、子どもたちは「どのように伝えれば相手に伝わるのか」「この情報は適切だろうか」と考えるようになります。
情報を発信する経験は、責任感を育てます。同時に、「自分の考えで社会に関わることができる」という自己効力感にもつながります。近年よく言われる「クリエイティブ・コンフィデンス(創造への自信)」も、こうした経験の積み重ねの中で育まれていくのでしょう。
今、大人が考えなければならないのは、「子どもを情報から遠ざけること」ではありません。情報にあふれた社会の中で、どのように読み取り、判断し、発信するかを共に考えていくことです。端末を活用する時代から、端末が存在することを前提に学びを設計する時代へ―学校の役割も大きく変わり始めています。
これからの学校は、知識を教えるだけの場所ではなく、情報を吟味し、自分の頭で考え、他者と対話しながら社会に参加していく力を育てる場でなければなりません。SNS社会だからこそ、「考えて受け取る力」と「責任をもって伝える姿勢」を育てる教育が、ますます重要になっていると感じています。