校長ブログ

英語教育を考える75ーピアフィードバック

2026.09.12 英語教育

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2生:英作文を書いた後に友達同士でコメントし合う活動ってありますよね。正直、先生に見てもらう方が正確だと思うんですが。

校長:よい質問だね。それがピアフィードバックと呼ばれる学習法なんだ。Peerは「同僚、仲間」、Feedbackは「評価や意見を伝える」という意味で、学習者同士がお互いの英語を読み合い、改善点や良い点を伝え合う活動なんだよ。

2生:でも、友達も高校生ですよ。間違ったことを教え合うことになりませんか?

校長:もちろん、その可能性はある。だから教師は評価基準、つまりルーブリックを示し、どんな観点でコメントするかを事前に共有する。大切なのは、正解を教えることではなく、相手に伝わる英語かどうかを一緒に考えることなんだ。

2生:なるほど。でも、それで本当に英語力は伸びるんでしょうか?

校長:日本でも多くの実践研究があるよ。英作文では文章量が増えたり、内容が具体的になったり、表現の幅が広がったりすることが報告されている。さらに、自分の文章を読み直す力も育つんだ。

2生:人の作文を読むことも勉強になるってことですか?

校長:その通り。教育心理学では観察学習やメタ認知という考え方がある。他者の表現を見ることで、自分の文章を客観的に見られるようになる。この表現は使える、この説明は分かりやすいと気づくことが、自分自身のライティングにも反映される。

2生:確かに友達の表現を見て、そんな言い方があったんだと思うことがあります。

校長:それが学習なんだよ。英語は知識だけではなく、実際に使われる言語だからね。いろいろな表現に触れることで、自分の言語レパートリーが広がる。

2生:でも、褒めるだけで終わってしまうこともありませんか?

校長:だからコメントにも工夫が必要なんだ。Good!だけでは学びは深まらない。例えば、この具体例は説得力がある、ここは理由をもう一つ加えると読み手に伝わる、接続詞を変えると流れが自然になるというように、根拠を添えて伝えることが重要なんだ。

2生:コメントを書く人も頭を使いますね。

校長:まさにそこなんだ。実は、フィードバックを受ける側だけでなく、与える側も学習効果が高いことが分かっている。相手の文章を分析する過程で、自分の評価基準も洗練されていくからね。

2生:先生が全部添削するよりも、学ぶ人が増えるわけですね。

校長:そう。学習科学では、知識は教師から一方的に与えられるだけではなく、学習者同士の対話を通して共同的に構築されるという考え方が重視されている。ピアフィードバックは、その代表的な学習活動なんだ。

2生:英語を書くことだけじゃなくて、人に伝える力も育ちそうですね。

校長:その通り。相手を尊重しながら意見を伝える力、異なる考えを受け入れる力、改善を前向きに受け止める力も育つ。これらは大学でも社会でも求められるコンピテンシーなんだ。

2生:だから授業でピアフィードバックを大切にしているんですね。

校長:英語を学ぶ目的は、テストで点数を取ることだけではない。人と考えを交換し、新しい価値を一緒に生み出せる人になることだ。ピアフィードバックは、その第一歩なんだよ。

2生:次の英作文では、友達の文章も自分の教材だと思って読んでみます。

校長:それが学び続ける姿勢だね。一人で学ぶより、仲間と学ぶ方が、英語も人間力も大きく成長できるんだ。