校長ブログ
英語教育を考える78:文法説明はどこまで必要か
2026.09.29
英語教育
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9月29日
![]() 母親:私は大学で英文科を卒業し、英文法もかなり勉強しました。でも最近は文法よりコミュニケーションと言われます。英語教師は、どこまで文法を説明できればよいのでしょうか?
校長:教師自身は文法を深く理解しているべきだと思います。しかし、その知識をすべて授業で説明する必要はありません。
母親:知っているなら、全部教えた方が生徒のためになるのではありませんか?
校長:そうとは限りません。授業の目的は、文法を教えることではなく、生徒が英語を理解し、使えるようになることです。文法は、そのためのツールなのです。
母親:でも、生徒から例えば、なぜここは現在完了なのですかなどと聞かれたら、詳しく説明できなければ困りますよね。
校長: もちろんです。だから教師は深く学んでおく必要があります。ただし、深く知っていることと、深く説明することは別です。生徒に合わせて、一分で説明することも、十分かけて説明することもできる。それが教師の力量です。
母親:なるほど。知識の量よりも、知識の使い方が大切なのですね。
校長:その通りです。医師が患者に医学書のような説明をしないのと同じです。専門知識があるからこそ、相手に分かる言葉へ置き換えられるのです。
母親:私は大学で理論的な英文法を学びました。でも、それを中学生や高校生に説明しようとすると難しいと感じます。
校長:教えるという仕事は、知識を披露することではありません。相手の理解度を見極め、今、この生徒には何が必要なのかを考えながら伝えることです。
母親:最近はAIが文法を詳しく説明してくれます。そうなると教師の役割は変わるのでしょうか?
校長:むしろ、AI時代だからこそ、教師の役割はこれまで以上に重要になります。AIを活用したEdTech教材は、生徒一人ひとりのつまずきを分析し、その理解度に応じた問題や例題を提示し、文法事項を分かりやすく説明することまで可能になりました。しかし、生徒の学ぶ意欲を引き出し、それを持続させること、学習習慣を身につけさせること、さらには一人ひとりの理解の深さに応じて問いを投げかけ、知的好奇心を育み、自信へとつなげていくことは、教師にしか果たせない役割です。知識を教えるだけではなく、生徒の可能性を信じ、その成長を支える存在であることこそ、これからの教師に求められる最も大切な使命だと考えています。
母親:AIと教師は競争相手ではないのですね。
校長:はい。AIは優れたツールに過ぎません。しかし、それをどう使い、生徒の成長につなげるかは教師の仕事です。
母親:では、英語教師に必要なのは、高度な文法知識と、それを分かりやすく伝える力ということでしょうか?
校長:その通りです。そして、もう一つ大切なのは、説明しない勇気です。生徒にとって不要な知識まで詰め込むのではなく、本当に必要なことだけを伝える。その判断ができる教師こそ、優れた教師だと思います。
母親:今日のお話を聞いて、考え方が変わりました。文法を軽視するのではなく、文法を生徒のために生かすことが教師の役割なのですね。
校長:そう信じています。教師は文法の専門家である前に、学びを支える専門家です。文法は土台ですが、その土台の上で、生徒が「英語が分かった」「英語で伝えられた」という喜びを感じられる授業をつくることこそ、本当の英語教育ではないでしょうか?
母親:校長先生が日頃からおっしゃるファシリテーターの意味がわかったような気がします。ありがとうございました。
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