校長ブログ

英語教育を考える82ー英語の学力差を、学び合いの力に変える

2026.10.28 英語教育

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10月28日

学力差を力に変える英語授業.png

若手教員: 英語の授業で学力差が大きいクラスを担当しています。得意な生徒には簡単すぎる一方、苦手な生徒には難しい。どう設計すればよいのでしょうか?

校長: まず学力差をなくそうと考えないことだね。大切なのは、学力差があっても、全員が学習に参加できる構造をつくることだよ。

若手教員: 一斉授業だけでは難しいということですね。

校長: そうだね。英語では特に、同じ教材を全員に同じ方法で学ばせる必要はないんだ。例えば、目標は「本文の内容を理解し、自分の考えを英語で伝える」と共有しながら、そこに至る支援を変える。これは教育心理学でいう足場かけ(scaffolding)の考え方だね。

若手教員: 具体的にはどうしますか?

校長: 例えば本文読解なら、基礎層には重要語句や図解、キーワードを提示する。中間層には問いを与え、自力で情報を整理させる。発展層には本文を根拠に別の視点から考えるといった課題を設定する。同じ授業の中で、課題へのアクセス方法を変えるんだよ。

若手教員: いわゆる個別最適な学びですね。

校長: その通り。ただし、個別化しすぎてもいけない。英語はコミュニケーションの教科だからね。そこで協働的な学びを組み合わせる。例えば、4人程度の小グループで、情報を持ち寄って一つの英文を完成させる。得意な生徒が一方的に教えるのではなく、それぞれに役割を持たせることが重要だよ。

若手教員: 得意な生徒にも学びが生まれるわけですね。

校長: そうだね。人に説明することで、自分の理解が再構成される。これは教えることによる学習(learning by teaching)にもつながる。だから、学力差は弱点ではなく、設計次第で学習資源になるんだよ。

若手教員: 評価はどう考えればいいでしょうか?

校長: 誰が一番できたかではなく、それぞれがどこまで伸びたかを見ることだね。共通の到達目標を持ちながら、形成的評価で途中の理解を確認し、次の課題を調整する。授業後に誰ができなかったかではなく、誰に、どの支援が有効だったかを教員同士で共有することも大切だよ。

若手教員: なるほど。学力差への対応は、特別な授業を別に用意することではないんですね。

校長: その通りだね。授業の中に、選べる課題、支え合える関係、挑戦できる課題を組み込む。英語の学力差を問題として捉えるのではなく、多様な学び方を生み出す契機として捉える。そこに、これからの英語教育の可能性があるんだよ。