校長ブログ
高校国語の科目再編ーAI時代だからこそ文学を学ぶ意味
2026.10.09
カリキュラム・マネジメント
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10月9日
文科省が、高校の学習指導要領を見直し、文学教育を充実させる方針を示しました。2022年度から始まった現行の学習指導要領では、国語が「論理国語」「文学国語」「古典探究」「国語表現」の4科目に分かれました。しかし、大学入試を意識した科目選択の影響もあり、多くの高校で「論理国語」や「古典探究」が選ばれる一方、「文学国語」の履修率は半数程度にとどまっています。特に理系の生徒は、高1以降、文学作品に触れる機会が大きく減少する状況が続いてきました。
文科省によれば、25年度の履修率は論理国語の77%に対し、文学国語は49%。文学国語が低いのは多くの高校生が大学入試で出題されやすい論理国語と古典探究(履修率87%)を選択するためで、生徒の学びに偏りが生じていることが指摘されてきました。
近年、AIの進歩は目覚ましく、論理的な文章の作成や情報整理など、多くの知的作業を担えるようになりました。しかし、人の悲しみや喜びを深く理解し、言葉の行間にある感情や葛藤を感じ取り、新たな価値を創造する力は、人間だからこそ発揮できるものです。だからこそ、AI時代であればあるほど、文学を学ぶ価値は高まっていくのではないでしょうか?
一方で、教育現場には現実的な課題もあります。各校は現行の学習指導要領に対応するため、教育課程を整備し、教材を選び、授業改善を重ねてきました。今回の見直しによって再びカリキュラムを再編する負担は決して小さくありません。また、文学作品を増やすこと自体が目的になってしまっては意味がありません。文学を通してどのような資質・能力を育てるのかという教育理念が伴ってこそ、改革は真の価値を持ちます。
本校では、文系・理系という枠組みを超え、人間力を育む教育を大切にしています。グローバルな探究学習や国際交流、実践的な英語教育に力を入れているのも、その根底には、多様な価値観を理解し、自ら考え、自分の言葉で発信できる人を育てたいという願いがあります。
文学を読むことは、異なる時代や文化を生きた人々と対話することでもあります。その経験は、グローバル社会で求められる想像力や共感力、そして対話する力を育てます。海外で活躍するために必要なのは、語学力だけではありません。異なる文化や価値観を理解し、相手の立場を想像できる力こそが、本当の国際力なのです。
これからの社会では、論理的思考力と豊かな感性、そのどちらか一方だけでは十分ではありません。数字を読み解く力と同じように、人の心を読み解く力も求められます。論理と感性、知識と人間性。その両方を育てる教育こそが、未来を切り拓く若者を育てるのは自明です。
今回の学習指導要領の見直しが、単なる科目再編に終わることなく、高校生一人ひとりが文学を通して人間への理解を深め、自らの人生を豊かに考える契機となることを期待しています。
教育は未来への投資。その未来を支えるのは、知識だけではありません。豊かな感性と言葉を持ち、人を理解し、社会に貢献しようとする若者たちです。AI時代だからこそ、人間にしか育むことのできない教育の価値を、改めて大切にしていきたいと思います。