KYG教育研究所(校長ブログ)
―教育を学校の中だけで考えない―

英語教育を考える83ーCliffhanger

2026.11.07 英語教育

11月7日



英語読解を深めるクリフハンガー学習.png

校長:今日のテーマは「英語読解のエンゲージメントを高めるCliffhanger―『続きが知りたい』を学びの原動力に」だね。英語の読解指導では、語彙や文法の定着に目が向きがちだけれど、もう一つ重要なのが読み続けたいという内発的な動機づけだよ。

教員:そこで、物語や説明文の途中に続きが気になる仕掛けを意図的に置く、Cliffhangerを活用するわけですね。

校長:その通りだね。Cliffhangerは、読者の予測や期待を次の場面へつなぐ仕掛けだよ。授業では、単に次を読みなさいと指示するのではなく、この人物は次に何をすると思う?と問いを残しておくんだ。

教員:つまり、読むことそのものを答えを探す活動に変えるのですね。

校長:そうだね。ここには認知心理学的な意味があるよ。学習者が既有知識を使って仮説を形成し、その仮説を本文によって検証すると、読解は受動的な情報処理から能動的な意味構築へ変わっていくんだ。自分の予想は当たるのかという適度な不確実性が、次の情報へ注意を向けるきっかけにもなるね。

教員:授業では、どのように仕掛ければよいでしょうか?

校長:例えば、英文を一段落ずつ提示して、各段落の最後にWhat do you think will happen next?と置くんだ。ただし、毎回大きな謎を設定する必要はないよ。主人公はなぜこの行動をしたのか?このデータから何が起こりそうか?といった小さな問いでも十分だね。重要なのは、その問いが本文の次の情報と結び付いていることだよ。

教員:そうすると、物語文だけでなく、科学や社会に関する英文にも応用できますね。

校長:むしろ、そこに教科横断的な可能性があるね。説明文なら、この研究結果から、筆者は次に何を提案するか?論説文なら、反対意見に対して筆者はどう応答するか?読解を先読みする力と根拠を探す力の往還として設計できるんだ。

教員:評価は、正解したかどうかだけでよいのでしょうか?

校長:いや、そこが重要だね。Cliffhanger型読解では、予測の正誤だけでなく、本文のどの表現を根拠に予測したかを評価するんだ。これはEvidence-based Reading、つまり根拠に基づく読解につながるよ。さらに、ペアで予測を比較させれば、異なる解釈を説明し合う協働的な学びにも発展できるね。

教員:なるほど。続きが知りたいという感情を、読解技能と協働的な学びに接続するわけですね。

校長:そうだね。英語教育で大切なのは、英文を最後まで読ませることだけではないよ。なぜ続きを読みたいのかを学習者自身が感じられる教材設計が大切なんだ。Cliffhangerは、読解を終点のある課題から次の問いが生まれる学びへ変える、小さなカリキュラム・マネジメントの工夫にもなり得るね。

教員:つまり、読むから知るのではなく、知りたいから読む状態をつくるのですね。

校長:まさにそこだね。学習者のもう一段読みたいを引き出すことが、英語読解のエンゲージメントを持続させるポイントなんだよ。