校長ブログ
人が人を呼ぶ学校へ―世界から学びを集める
2026.11.03
大学進学研究
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11月3日
大阪大学の研究力と人材獲得をめぐる記事を読みました。特に印象に残ったのは、英国出身のジェームズ・ウイング教授の歩み。約15年前、当時29歳だったウイング教授は、「あなたの研究室で研究したい」と、免疫学の世界的研究者である坂口志文教授にメールを送りました。坂口教授は、免疫の暴走を抑える「制御性T細胞」を発見し、2025年にノーベル生理学・医学賞を受賞した研究者です。

ウイング教授が大阪大学を選んだのは、給与や肩書が決め手だったからではありません。坂口教授に教えを請いたい、世界的な研究者と議論しながら自分を成長させたいという、純粋な学びへの思いがあったからです。「科学者として最も大切なのは、どこでよい研究ができるか。私にとって、その答えは大阪大学です」と語っています。
大阪大学には、免疫学をはじめ、歴史的に強く、特色のある研究領域があります。感染症総合教育研究拠点には、世界的な免疫学者もクロスアポイントメント制度によって招かれています。そして、その研究者とともに働きたいという人材を国際公募すると、世界各国から応募が集まりました。
優れた研究者は、単に一人で成果を上げるだけではありません。その人の研究姿勢や知見に惹かれて、次の研究者が集まります。研究者同士が議論し、刺激を受け、新しい研究を生み出していく。そこには、「人が人を呼ぶ」知の循環があります。
一方で、大阪大学は現在、厳しい現実にも直面しています。世界大学ランキングでは国内3位を維持しているものの、国内4位との差は縮まり、東京科学大学や東北大学との差も小さくなっています。両大学は国際卓越研究大学に認定され、大学ファンドから大規模な助成を受ける一方、大阪大学は第2期公募に落選しました。
だからこそ、大阪大学では、世界で活躍する人材をどのように集めるのかを全学的に考え始めています。研究実績や研究費の獲得状況などを分析し、重点分野に必要な人材を見極める「グローバル人材マネジメントセンター」の設置を計画しています。また、部局を越えて研究者や資金を束ねる「学術研究機構」も新設し、有望な研究を継続しやすい環境を整えようとしています。
もちろん、組織を整えれば、すぐに世界の人材が集まるわけではありません。給与水準や生活面の支援、制度の分かりやすい発信など、課題は残されています。それでも、大学全体で「どのような人を迎え、どのような学びを生み出すのか」を考え始めている点に、大きな意味があります。
これは、大学だけの話ではありません。学校も同じだと思います。「この先生から学びたい」「この仲間と挑戦したい」「この環境だから、自分の可能性を広げられる」。そう思える学校には、自然と人が集まります。
本校でも、世界から先生を招いています。国や文化、専門分野の異なる先生たちが生徒たちと日常的に関わることで、「英語を学ぶ」のではなく、「英語で学ぶ」「世界とつながりながら学ぶ」環境をつくっています。大切なのは、異なる価値観を持つ大人と出会い、「こんな考え方があるのか」「こんな生き方があるのか」と、生徒自身の世界が広がっていくことです。
大阪大学が世界から研究者を集め、研究者同士の出会いを新たな成果につなげようとしているように、本校も、世界から集まる先生たちとの出会いを、生徒たちの成長につなげていきたいと思います。「人が人を呼ぶ学校」。その先にあるのは、偏差値や数字だけでは測れない学校の価値です。
どんな先生と出会うのか。どんな仲間と学ぶのか。どんな世界を知るのか。そして、その出会いによって、自分は何者になっていくのか。これからの学校に求められるのは、「世界へ送り出す」だけではありません。世界から人が集まり、世界と出会える学校をつくることです。神戸山手グローバルは、その挑戦を続けて参ります。