校長ブログ
英語教育を考える⑱-単語の記憶
2025.09.20
教科研究
9月20日
生徒M:英単語がなかなか覚えられないんです。何回も書いて練習しているんですが、テストになると出てこないので悩んでいます。
校長:悩んでいるということは、取り組んでいる証拠。学びのスタートラインには立っていると考えてほしいな。第二言語習得の研究では、単語を意味、用法、音、文脈の中で覚えると記憶の定着率が高まることがわかっているよ。つまり、意味だけを覚えるのではなく、どう使われているかまで意識することがポイントなのです。
校長:例えば、decideという単語で考えてみようか?
生徒M:"決める"...と訳して、ノートに何回も書いてます。
校長:それに加えて、decide to study abroadとかdecide to try againみたいに、セットで覚えると記憶が深くなるよ。自分に関係ある情報ならはらに記憶に定着しやすいんじゃない?
生徒M:確かに。
校長:何回も書いてるのに覚えられないという声もよく聞くけど、その繰り返しには質の違いがあり、学習科学の分野では、分散学習と想起学習が長期記憶に有益ということが知られているよ。
生徒M:解説をお願いします。
校長:分散学習とは、一定期間にわたって複数回に分けて学ぶ方法のことで、1日に50語を詰め込むのではなく、5日に分けて毎日10語ずつ学ぶといったやり方。一方、想起学習は、記憶から情報を引き出すために、テスト形式で思い出す力を鍛える方法。つまり、ノートを見て、書いて、覚えるではなく、忘れかけた頃に自分で覚えた内容を思い出す練習をすることが、記憶の定着を高めるというわけ。これらを組み合わせた勉強方法をお薦めするよ。
生徒M:音や視覚を使った勉強も大事ですよね。
校長:スマホに自分の声で単語と意味を吹き込んで、スキマ時間に聴いてみるのはどう?
生徒M:自分の声で...ですか?
校長:聴覚と口を動かすという運動感覚が結びつくことで、脳の中で複数の回路が使われ、結果的により長期記憶に残りやすくなるという見解もあるよ。最近では、視覚的に単語カードをめくりながら学ぶこともできるアプリもあるよ。テクノロジーは工夫次第だね。
生徒M:なるほど。やってみます。
校長:英単語を覚えるのが苦手で、時間がかかる人もいるけど、焦る必要はないよ。大切なのは、自分に合った方法を見つけて、工夫し続けることだね。英単語の習熟は、世界中の人と心を通わせるチャンスを持つということも忘れないでほしいな。
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